発注者情報-i-Construction
発注者情報 ―i-Construction

目指せ!i-Construction大賞受賞-受賞するためのポイントとメリットとは?

はじめに

建設現場の生産性向上を目指したi-Constructionの取り組みが発表された平成28年の翌年、この取り組みを推進することを目的としたi-Construction大賞が創設されました。
第1回、第2回と開催され、合計37団体が受賞されています。

令和元年i-Construction貫徹の年を迎え、国交省や自治体発注者からの取り組み強化に対する情報提供や支援策は増えてきているとは言え、まだまだ中小建設会社にとって、積極的に取り組むにはハードルが高いと思われている経営者や現場監督の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、i-Construction大賞の仕組みや過去に受賞された団体や工事内容を紐解き、今からでも遅くない!? i-Construction大賞受賞を目指すためのポイントをご紹介します。

i-Construction大賞とは

”建設現場の生産性向上を図る「i-Construction」に係る優れた取組を表彰し、ベストプラクティスとして広く紹介し、横展開することにより、i-Constructionに係る取組を推進することを目的に平成29年度に創設したものです。″
国土交通省報道発表資料より)

国土交通省発表資料 i-Construction大賞の創設
国土交通省発表資料 i-Construction大賞の創設(H29)より抜粋

「i-Constructionの取り組みと言われても何をどうすれば良いのか明確ではないけれど、まずは見様見真似でもいいからやりながら改善していこうと取り組んだ結果、実はi-Construction取り組みの効率化が図れていた!」

まさに、第1回のi-Construction大賞を受賞された団体の実態はこういう事ではないかと推測します。
また、新たな取り組みを受け入れ、試行錯誤しながらも積極的に推進しようとする各団体の姿勢が、まず大きく評価されているのではないでしょうか。

表彰団体の審査はどのように行われるのかというと、対象とされる工事の中から、地方整備局などからの推薦、省内に設置された国土交通省技監を委員長とする「i-Construction大賞選考委員会」の審議を経て決定されるのです。

どんな団体が受賞したの?

第1回、第2回の表彰団体は次の通りです。

■平成29年度 第1回表彰団体

表彰の種類 団体名 工事名 工事担当地整
1 国土交通大臣賞 ㈱砂子組 道央圏連絡道路千歳市泉郷改良工事 北海道
2 国土交通大臣賞 カナツ技研工業 多岐朝山道路小田地区改良第12工事 中国
3 優秀賞 ㈱小山建設 北上川上流曲田地区築堤盛土工事 東北
4 優秀賞 金杉建設㈱ H27荒川西区川越線下流下築堤工事 関東
5 優秀賞 会津土建㈱ 宮古弱小堤防対策工事 北陸
6 優秀賞 ㈱新井組 平成27年度中部縦貫丹生川西部地区道路建設工事 中部
7 優秀賞 中林建設㈱ 第二阪和国道大谷地区道路整備工事 近畿
8 優秀賞 五洋・井森特定
建設工事共同企業体
徳山下松湾南陽地区航路(-12m)浚渫工事 中国
9 優秀賞 ㈱福井組 第二阪和国道大谷地区道路整備工事 近畿
10 優秀賞 若築・あおみ特定
建設工事共同企業帯
須崎港湾口地区防波堤築造工事 四国
11 優秀賞 ㈱野添土木 長谷川4号床固工・右岸導流堤工事 九州
12 優秀賞 ㈱丸政工務店 平成28年度恩納南BP1工区改良(その13)工事 沖縄

第1回目は直轄工事を対象としていて、各地整偏りなく、団体規模もJV含め大小問わずという印象ですね。

■平成30年度 第2回表彰団体
<直轄工事/業務部門>

表彰の種類 業者名 工事/業務名 発注地整等
1 国土交通大臣賞 ㈱加藤組 国道54号下布野歩道工事 中国
2 優秀賞 宮坂建設興業㈱ 一般国道274号清水町石山南改良工事 北海道
3 優秀賞 ㈱佐藤工務店 中野地区道路改良工事 東北
4 優秀賞 水郷建設㈱ H28西浦右岸大岩田地区波浪対策護岸工事 関東
5 優秀賞 ㈱小島組 H29鹿島港外港地区中央防波堤付属施設築造工事 関東
6 優秀賞 国際測地㈱ 平成28年度上尾道路敷地調査他業務 関東
7 優秀賞 共和土木㈱ 平成29年度浦山縦工他工事 北陸
8 優秀賞 中日建設㈱ 平成29年度庄内川下之一色しゅんせつ工事 中部
9 優秀賞 ㈱おかむら 平成29年度名古屋港庄内川泊地外浚渫工事 中部
10 優秀賞 ㈱吉川組 精華拡幅乾谷地区橋梁下部他工事 近畿
11 優秀賞 ㈱大竹組 平成28年度大谷地区改良工事 四国
12 優秀賞 岡本建設㈱ 踊瀬地区道路改良工事 九州
13 優秀賞 ㈱大寛組 平成28年度港川地区改良外工事 沖縄
14 優秀賞 高砂熱学工業㈱ 経済産業省総合調査別館改修(16)機械設備その他工事 官庁営繕

<地公体等工事/業務部門>

表彰の種類 業者名 工事/業務名 発注者
15 国土交通大臣賞 田中産業㈱ 一般国道243号(三和安塚道路)本郷サーチャージ盛土(その2)工事 新潟県
16 優秀賞 戸田建設・鹿内組特定
建設工事共同企業体
青森空港整備事業滑走路・誘導路改良工事 青森県
17 優秀賞 小川工業㈱ 社会資本整備総合交付金(河川)工事(護岸工) 埼玉県
18 優秀賞 ㈱正治組 平成28年度〔第28-D7313-01号〕(一)静浦港韮山停車場線防災・安全交付金工事(長塚橋橋脚補強工) 静岡県
19 優秀賞 八木建設㈱ H28阿土南部健康運動公園阿南・桑野他陸上競技場整備工事(担い手確保型) 徳島県
20 優秀賞 増崎建設㈱ 一般県道諫早外環状線道路改良工事(盛土工10) 長崎県

<i-Construction推進コンソーシアム会員の取組部門>

表彰の種類 取組団体名 取組名 本社所在地
21 国土交通大臣賞 ㈱政工務店 平成29年度における株式会社政工務店の取組 佐賀県
22 優秀賞 ライト工業㈱ 道路盛土直下の地盤改良工事におけるICTの利活用 東京都
23 優秀賞 ㈱コイシ UAVによる除草工事の出来形管理について 大分県
24 優秀賞 ㈠Civilユーザー会 一般社団法人Civilユーザー会のBIM/CIM推進への取組み 東京都
25 優秀賞 フタバコンサルタント㈱ i-Constructionの取組み 福島県

第2回目は地方公共団体工事、i-Construction推進コンソーシアム会員の取組の2部門が追加され、一気に受賞枠が増えました。

第2回直轄工事/業務部門 国土交通大臣賞受賞 ㈱加藤組
第2回直轄工事/業務部門 国土交通大臣賞受賞 ㈱加藤組
第2回地公体等工事/業務部門 国土交通大臣賞受賞 田中産業㈱
第2回地公体等工事/業務部門 国土交通大臣賞受賞 田中産業㈱

国土交通省 i-Construction大賞受賞取組資料より抜粋

何が評価されているの?

第1回と第2回の受賞団体のi-Construction取り組み内容は、簡単な資料ではありますが国土交通省から発表されています。主に第2回目の受賞団体(業務部門/直轄工事・地公体等発注工事)を対象に、「ここが評価されいているのでは?」というポイントを独自の目線でまとめてみました。

<参考資料>
国土交通省 i-Construction大賞 受賞取組 概要(直轄工事/業務部門)
国土交通省 i-Construction大賞 受賞取組 概要(地公体等発注工事/業務部門)

ポイント① 工期短縮や作業の効率化が図れている

ほとんどの受賞団体の評価コメントにあるのが、「工期短縮」や「作業効率化」が図れたという内容です。中には工程を5割短縮されたという工事もありました。i-Construction取り組みの目的の一つは生産性の向上ですから、ここは必須ポイントと言っても良いでしょう。

ポイント② ICT活用工事の促進や普及、次世代の担い手育成に貢献している

次に評価コメントの中で目立っていたのが、「普及」と「育成」という言葉です。見学会や勉強会の開催、講習会での発表など、新たな取り組みを行う中で得られた知見や技術を、周囲に惜しみなく発表、提供することでi-Constructionの普及や次世代の担い手育成に貢献されているというのもポイントですね。

ポイント③ 前例の無い初の取り組みや、他社との協力で工事を成功させている

i-Construction推進によるICT標準化への道はまだ半ばです。そんな中、全国初や地域発、業界初の取り組みによりICT活用工事を成功させている団体や、既存の土木工事の常識を変えるような内容で工事を実現された団体もありました。また、自社だけではなく、メーカーや測量会社等の関係会社との協力により、ICT活用工事に取り組んでいるということも評価ポイントになっているようです。

受賞するとメリットはあるの?

建設業界において、i-Constructionは避けては通れない取り組みであり、注目せざるを得ないというのが正直なところではないでしょうか。同業界で誰もが注目するi-Constructionの取り組みを評価され、このように大々的に発表されるということは、確実にその団体のPRになります。
日々の努力が評価され、業界からも注目される会社で働いているとなると、従業員の皆さんにとってのモチベーションアップにもきっと繋がりますね。

i-Construction大賞の先にあるもの

i-Construction貫徹の年を迎え、ICT標準化のスピードは収まる気配がありません。ICT活用工事に積極的に取り組むことはもちろん、それを継続しながらも次世代の育成に取り組むことが求められています。

建設業界は、地方の建設会社を中心に国民生活や社会経済を支える大きな役割を担っています。そのためには、持続可能な建設産業の構築が必要です。ICT標準化により、生産性が向上し利益が増え、元気で前向きな建設会社が様々な課題を現場で解決しながら、i-Constructionの取り組みを実行していくのです。

i-Construction大賞受賞の先には、建設業界ひいては我が国全体を導く新しい社会と明るい未来が待っているのではないでしょうか。

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