ICT技術-3次元データ
ICT技術 ―3次元データ

3次元設計データとは?作成方法は?よくわかるICT施工用語解説⑥【3次元設計データ】

はじめに

ICT活用工事はもちろん、BIMCIM工事や簡易型ICT活用工事でも、その工程において必要不可欠なのが「3次元設計データ」です。

今回はそんな3次元設計データについて解説します。

3次元データとは

対象となる物体・構造物や地形をその名の通り3次元で表現したデータのことです。
3次元データは、以下の点・線・面(サーフェス)・ソリッドなどの要素で構成されています。

1)点

XYZの位置座標を表現するデータです。大量の点の集合を点群と呼びます。

▽点群データの詳しい解説記事「ICT施工用語解説その⑤【点群データ】」

 点群データとは?点群の取得方法は?よくわかるICT施工用語解説⑤【点群データ】

2)線

位置座標を示した点と点をつなぐことで線が構成されます。
複数の単一線が接合したものをポリライン(折れ線)、滑らかな形状を示したものを曲線と呼びます。

3)面(サーフェス)・TIN

三角形や四角形に並んだ点(頂点)からなる面データです。

4)ソリッド

中身の詰まった物体として、物体の表面と中身を表現した立体形状データです。

点・線・面・ソリッド

ICT施工における3次元設計データとは

ICT施工における「3次元設計データ」とは、発注者から受け取った2次元の設計図書を、受注者が3次元データ化したものを指します。

この3次元設計データは「設計図書の照査」と「出来形数量の算出」が主な目的で、出来形管理や完成検査の際に使用し最終的に電子納品されます。

3次元データ関係図

ちなみに、ICT建機による施工ではICT建機に3次元設計データを設定して施工をしますが、この時に使用する3次元設計データは出来形管理用のものとは別に、施工用として作成されたものを設定する現場が多いようです。同じ3次元データという言い方ですが、使用目的やデータ内容が多少異なりますのでご注意ください。

また、BIMCIM原則適用の流れから、設計図書に3次元データを含んだ工事が発注される現場も増えています。その場合であっても、受注者が行う3次元設計データの照査作業は必要です。

▽ICT施工実務シリーズ「3次元設計データと3次元施工用データの違い」

 3次元設計データと3次元施工用データの違い【ICT施工実務シリーズ①】

3次元設計データの構成要素

国土交通省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」では、3次元設計データを次のように定義しています。

道路中心線形または法線(平面線形、縦断線形)、出来形横断面形状、工事基準点情報及び利用する座標系情報など設計図書に規定されている工事目的物の形状とともに、それらをTINなどの面データで表したもの

そのため、受注者は監督職員から貸与された設計図書や線形計算書などから、以下の要素を読み取り、3次元設計データを作成します。

3次元設計データ
引用:国土交通省 令和4年3月版「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」より一部抜粋して掲載

1)平面線形

道路中心線形(工事の基準となる線形)または法線(堤防、河道や構造物等の平面的な位置を示す線)の平面的な形状を表しています。

道路中心線形の場合、線形計算書に記載された幾何形状を表す数値データで作成されています。
平面線形は、道路中心線形の場合、直線、円曲線、緩和曲線(クロソイド)で構成され、それぞれ端部の平面座標、要素長、回転方向、曲線半径、クロソイドのパラメータで定義されます。

平面線形
引用:国土交通省 令和4年3月版「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」より一部抜粋して掲載

2)縦断線形

道路中心線形又は法線の縦断的な形状を表しています。
縦断形状を表す数値データは縦断図に示されており、縦断線形の幾何要素は、道路中心線形の場合、縦断勾配変位点の起点からの距離と標高、勾配、縦断曲線長又は縦断曲線の半径で定義されます。

縦断線形
引用:国土交通省 令和4年3月版「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」より一部抜粋して掲載

3)出来形横断面形状

平面線形に直交する断面での、土工仕上がり、法面、舗装面等の形状を表したものです。現行では、横断図として示されています。

出来形横断面形状
引用:国土交通省 令和4年3月版「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」より一部抜粋して掲載

4)TIN(不等三角網)

3次元設計データ作成ソフトでモデル化する面(サーフェス)データです。
Triangular Irregular Network の略称で、地形や出来形形状などの表面形状を3次元座標の変化点標高データで補間する、最も一般的なデジタルデータ構造といわれています。

TINは、多くの点を直線で繋いで三角形を構築したもので、構造物を形成する表面形状の3次元座標の変化点で構成されます。

TIN(不等三角網)
引用:国土交通省 令和4年3月版「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」より一部抜粋して掲載

3次元設計データの作成

3次元設計データは設計図書や線形計算書などから、上記で述べた構成要素を3次元設計データ作成ソフトウェアに読み込み、作成します。

TINは三角形の平面の集合体であるため、曲線の多い部分では管理断面の間を細かい断面に分割して3次元設計データ化する等工夫が必要です。このため、線形の曲線区間においては必要に応じて追加の横断形状を作成した後にTINを設定することもあります。

補間計算
引用:国土交通省 令和4年3月版「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」より一部抜粋して掲載

使用するソフトウェアは各メーカーによって特徴があります。そのため、施工管理ソフトと同じメーカーで揃えて使いやすさを重視する場合や、あえていくつか違うソフトを導入して様々な現場に対応できるよう準備する場合など、ソフトウェアの選択条件は企業によって違います。

自社の3次元設計データ作成の内製化バランスも考慮して選定するようにしましょう。

▽3次元設計ソフトウェアの特徴と選定のポイントを詳しくまとめた記事はコチラ

 ICT施工の3次元設計ソフトウェア(3DCAD)の特徴と選定のポイント【ICT施工実務シリーズ②】

今回はICT活用工事の工程で無くてはならない「3次元設計データ」について解説しました。
これからはBIM/CIM原則適用の流れで、3次元データの活用領域はますます広がります。
ICT活用工事に限らずBIM/CIM活用工事にも対応できるよう、3次元設計データの取扱い実績をしっかり重ねていきましょう。

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