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ICT小規模土工も見積対応できる?国土交通省 令和4年度積算要領のワンポイント解説

令和4年度の国土交通省 基準類改定の目玉とも言えるのが「小規模現場に対応したICT技術導入」関連の要領でしょう。

小規模現場のICT施工(以下、ICT小規模土工)に限らずICT工事関連の要領は、実施要領、積算要領、出来形管理要領など、色々な種類があります。

さらに、詳細は工種別に分かれ、計測技術に関するマニュアルは別にあるなど、実際に施工管理をする際には、どの要領をどのように参考すればいいのかがわからなくなってしまいます。

今回のコラムではそんな各種要領の中から、お金に関する積算要領をもとに、ICT小規模土工に取り組むなら今がチャンス!な理由をワンポイント解説します。

※本コラムでは、国土交通省が言う「小規模現場のICT施工」を「ICT小規模土工」と表現しています。

ICT小規模土工推進の目的

「大きい工事(=土量が多い工事)じゃないと、結局ICTって儲からないでしょ」

そう思って小規模土工の取り組みに消極的な方は要注意です。今のうちに取り組んでおかないとチャンスを逃すかもしれません。

国土交通省がICT小規模土工を推進するのには、

「地方自治体のICT施工の実施率をあげたい」
「中小の建設会社のICT工事経験数をあげたい」

という理由があります。

自治体発注工事のICT実施率
ICT施工経験企業の割合

上の図でいうCDランク企業は地方の中小建設会社が多数を占めます。

このような数字を見ると、中小建設業や地方自治体のICT施工への取り組みは、まだまだ進みが遅い印象を受けます。

そんな中、令和3年8月「ICT普及促進ワーキンググループ」が設置されました。

この部会の設立目的は次の通りです。

小規模の現場に対応した ICT 技術について現場実証を行い、定量的にとりまとめ、基準類を整備することで、「だれでも」「どんなときでも」ICT 技術を活用できるような環境整備を行い、現場の最適化を実施していくことを目的として「ICT 普及促進ワーキンググループ」(以下「ワーキング」という。)を設置する。
国土交通省 第1回ICT普及促進WG【資料-1】議事次第より抜粋

「だれでも」「どんなときでも」というワードが使われているのを見ると、ICT施工の取り組み可否を土量や工種だけで判断するのは、国の意向には沿わない気がします。

ICT対応の積算ルール

ここまでICT施工を促進するからには、施工時に係るICT経費がどこまで積算に含まれているのかが気になりますが、施工パッケージ型積算を基準に、一部見積対応で経費を計上できるようになっています。

機械経費、3次元起工測量・3次元設計データの作成費用、3次元出来形管理・3次元データ納品・外注経費等の費用を例に少し詳しくみてみましょう。

ICT活用工事(土工1000m3未満)積算要領1
ICT活用工事(土工1000m3未満)積算要領2

機械経費の加算額や3次元出来形管理等の経費を算定する条件は、通常のICT土工(1,000㎥以上)とは多少異なります。

該当工事にあった積算要領を確認し、内容を十分理解しておくようにしましょう。

令和4年7月に一部修正された積算要領

令和4年度の基準類は4月に発表されましたが、令和4年7月に新たな工種の要領が追加されたと同時に一部修正がありました。

国土交通省 「ICTの全面的な活用の推進に関する実施方針」正誤表(令和4年7月1日)

上記の正誤表から、ICT小規模土工に該当する箇所を抜粋します。

ICT活用工事(土工1,000m3未満)の修正箇所

実施要領

  • 対象工種
    「砂防土工」、「河床等掘削含む」の文言削除

積算要領

  • 機械経費
    地上の基準局・管理局以外の賃貸費用が損料計上に含まれる旨の記載削除
  • 3次元設計データの作成費用
    3次元起工測量も必要額を適正に積み上げ計上する旨の記載追加
  • 3次元出来形管理・3次元データ納品の費用、外注経費等の費用
    受発注者協議の上、面管理で出来形管理を実施する場合は、必要額を適正に積み上げ計上する旨の記載追加
  • 【参考】の単価表追加

3次元起工測量と3次元出来形管理に関する記載は注目すべき修正です。なぜなら、ICT小規模土工の取り組みを決断するうえで、これらが経費計上できるかどうかは重要な判断基準になり得る項目だからです。

まとめ

「ずっと今のままの見積対応が続くかどうかはわからない」

これはICT活用工事の関係者の間でよく言われていることです。皆さんも同じように思われたことがあるのではないでしょうか。
だとすれば、まさに今がチャンス!ICT施工に取り組まない選択肢はないということです。

また、国土交通省の要領は発表時期や内容に一部違いはあっても、自治体工事にもほぼ準用されます。関係する地域の発注者が規定する要領をしっかり確認し、有効な制度を活用して積極的にICT施工にチャレンジしていきましょう。

ほとんどの工事現場で「だれでも」「どんなときでも」ICT技術を活用するようになる日は、もう目の前までやってきているのですから。

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