i-Constructionが発表された当初から、当社のサポートや総合マネジメントを活用しながらICTの取組みをスタートさせた森下建設。水野様は国土交通省による要領化前の工種や、任意仮設等のICT予算が認められない現場でも積極的にICTに取り組んできました。安全で効率的な施工の実現を目指した挑戦や、ICTノウハウの習得、ICT活用に対する考え方などを伺いました。

従来施工よりも安全・正確なICT施工の効果に期待して挑戦を決意

―道路改良工事において、水野様としては初めてICT活用工事に挑戦されましたね。そのきっかけをうかがえますか。

この工事の第1期は従来施工で行いました。そのときに高所での出来形管理や軽量盛土の出来高数量算出などにとても苦労したので、第2期も対応するとなったときにICTで行いたいと考えました。複雑な形状の正確な数量を出そうとする場合、従来施工で行うと中間の変化点も取得しないといけませんが、レーザースキャナーを使えば一目瞭然になります。ICTを活用することで、もっと正確な数量が把握できるんじゃないかと考えたことがきっかけでした。


―初めての挑戦でしたが、法面工、アンカー工、擁壁工など複数工種でICT活用工事に取り組まれましたよね。その効果はいかがでしたか?

第1期(従来施工で実施)は本当に大変だったので、第2期はICT活用によってだいぶ効率化できたと思います。


当時、軽量盛土工のICT活用工事は発注者としても前例がなかったのですが、既に要領化されていたICT土工と考え方は同じだと思いました。そこで協議を重ねた結果、発注者から承諾をもらってICTを活用した正確な数量算出による適正な出来高反映が実現でき、工事費用の増額にもつながりました。


アンカー工については、現地の法面の高さが約12mあって高所での作業が必要だったので、安全上のリスクの心配もありました。そこで、地上型レーザースキャナーを使うことで安全に測量を行いたいと考えたんです。擁壁工も、ICTを活用することで従来施工に比べて効率的に施工を進められました。アンカー工・擁壁工も国土交通省の基準類にはまだ運用ルールが定められていなかったので、発注者と協議を重ねて実現できました。

結果、ICT活用によって工期が短縮できて、発注者にも安心してもらえたと思います。


▼森下建設・水野様ICT施工現場(1現場目)

https://kensetsu-ict.com/works/216/


―私たち(ストラテジクスマネジメント株式会社:建設ICT.comの運営会社)もサポート企業として携わっていたので、水野様の挑戦が無事に成功して安心しました。

さらに次の第3期では、ICT建機施工だけでなくBIM/CIM活用にも挑戦されましたよね。

第3期は高所での丁張が必要でしたが、土質から小段が崩れやすいことが予想される危険な現場でした。ICT建機施工を活用すれば安全に行えるのでやってみたいと考えたんです。

わたし自身としては初めてのICT建機施工だったので、総合マネジメントを受けることでICT現場運用のノウハウを着実に習得しながら取組みました。


BIM/CIMは、行ったことで現場施工を明確に可視化することができ、施工管理や発注者協議において非常に役立ちました。例えばプレキャストの擁壁パネルがちゃんと入るのかどうかや、既設構造物と干渉する箇所などを事前に確認できました。ガードレールの設置についても既設構造物との関係で不整合が生じるところがありましたが、BIM/CIMを活用したことで発注者との間でスムーズな設計変更協議ができました。

実際の現場がどうなるかが分かりやすくなったので、現場には上手く利用できたと思っています。


▼森下建設・水野様ICT施工現場(2現場目)

https://kensetsu-ict.com/works/222/


―ICT活用やBIM/CIM活用による効率化を実感されたということですが、従来施工に比べて意識していることはありますか?

ICT活用工事では地上型レーザースキャナーなどで計測して地形が正確にデータとして反映されるので、施工自体のごまかしがきかないですよね。施工品質が一目瞭然になるので、設計の指示通りに確実に施工していかないといけない。もちろん、そうでなくてもごまかすことはないですけど、よりきっちり施工や管理をしていかないとという意識はしています。



予算が出なくても楽になるならICT活用工事でやりたい

―正確な技術力・管理力が求められるのはICTの特徴でもありますね。水野様ご担当の直近2現場は、ICT活用工事として予算が認められていない中でもICTで対応されていますよね。

1つ前の現場は砂防堰堤工事で、変化点の多い複雑な床掘工だったのでICTを使えたら効率がいいと思ったんです。現在進行中の橋梁補修工事は、任意仮設の施工のときに丁張をかける手間などを考えたらICTを活用した方が楽だと思いました。ICT予算計上はないということを承諾してICTを使って対応しています。


ちょうど社内に空いているICT建機がありましたし、3次元設計データもすごく難しいデータではなかったので自分で作成できて、そこまでお金はかかりませんでした。

せっかくICT施工を行える環境があるのなら、手間や安全面の観点からも積極的にICTを活用していきたいと思っています。



―3次元データ作成もすっかりご自身で対応されていますよね。

3次元データ作成は2現場目で総合マネジメントを受ける中で教えてもらったのが始まりです。ストラテジクスマネジメントの川口さんに作ってもらったデータと自分で作ったデータとを重ねて比べてみて、ずれなどを確認しながら習得しました。最初は「カーブを3次元データにするにはどうするんだろう?」などと思っていましたが、総合マネジメントで作り方やコツを教えてもらってデータ作成ができるようになりました。

現在対応中の任意仮設の現場では、自分の好きなように3次元データを作って必要に応じて変更・修正をするなど、自由にデータを扱えるようになっています。設計用データであれば指示図面通りに作成するように心がけています。



総合マネジメントの魅力は、分からないときにすぐきける安心感

―1,2現場目では総合マネジメントをご利用いただきました。その効果はどのように感じられましたか?

協力してもらわなかったらできなかったですね。「軽量盛土工やアンカー工、擁壁工でICTを活用できないだろうか?」というアイデアは私の中にありましたが、ストラテジクスマネジメント株式会社の総合マネジメントがなければ自分だけでは難しかったです。ICT施工計画や国土交通省のICT基準類の読み解き、発注者協議の資料準備などをはじめ、トータルでサポートを受けたことで初めてのICT活用を実現できました。



―これからICTに取り組もうとしている全国の建設会社様に向けたメッセージはありますか?

ICTの取組みをこれから始める・まだ理解が十分でないという企業様は、分からないことがあったときにきけるパートナーがいると安心して取り組めると思います。


ICT活用工事に取り組んでいくと、初めてでわからないことやイレギュラー対応が出てきます。このとき丸1日考えても解決できずに止まってしまうことがあるのが、ICT活用工事への挑戦を始めるときの一番のネックだと思います。

そんなときに、分かっている人にきければすぐに解決できます。現在はオンライン打合せも当たり前になってきているので、WEBや電話で10分もかからずに解決できることも多いです。


3次元ソフトウェアや測量機器の専門窓口に問合せすることもありますが、疑問の全てが解決しない場合もあります。その点で総合マネジメントなら計画から納品までトータルでサポートが受けられることも助かります。


森下建設全体ではICTで対応した工事は26現場になりますが、サポートしてくれる人たちがいるから、会社としてもうまく推進できていると思います。初めから自社だけでやるのはやっぱり難しいですからね。

―最後に、ICTに関して今後やってみたいことなどがあれば教えてください。

GNSSやスキャン技術など、技術がどんどん進化しています。GNSSを使って1人でも現況を計測することもできるようになりますし、スマホのスキャンを使って簡単な土量算出をすることもできると思います。色々なことができるようになっていくので、新しい技術を積極的に取り入れていくことが大切だと思います。


後輩技術者からも新たにICT計測機器を使いたいとの声が上がっています。会社として追加の設備投資の予定もあり、社内でのICTの取組みもさらに強化していきます。

総合マネジメントを通して習得されたICT活用工事や3次元データ作成のノウハウを活かし、今では予算の有無に関わらず積極的にICTに取り組まれていました。さらに進化する森下建設様、水野様を楽しみにしています。ありがとうございました!

取材日: 2025/10/28

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