ICT技術-3次元データ
ICT技術 ―3次元データ

日本初公道レースのコース安全検証にICT土木技術を活用(3次元モデル編)

はじめに

いよいよ開催まで残り数日となった「ねっとの窓口A1市街地グランプリGOTSU2020」。モータースポーツファンのみならず、開催を心待ちにしている方がたくさんいらっしゃることと思います。
わたしたち建設ICT.comは、開催決定前の2017年からコースの安全検証や運営シミュレーションのための技術的なサポートを行い、オフィシャルパートナーとして大会に参加しています。

日頃からi-Constructionの取り組みやICT施工を導入される建設会社様をサポートするわたしたちのICT土木技術が、この記念すべき大会にどのように活かされてきたのかを2回に分けてお届けしています。今回は後編の「3次元モデル編」です。

前編はこちら→ 「日本初公道レースのコース安全検証にICT土木技術を活用(3次元測量編)」

活用したICT土木技術とは

今回のグランプリは日本初の公道を使ったレースです。それを実現させるためには、警察・道路管理者からの許可を得る必要があり、コースの確かな安全証明とレース運営の徹底した安全対策が求められます。

その安全検証のため、まずは江津駅前のコース設置予定エリアを3次元モデル化することになりました。準備段階から大会コンセプトに沿うという主催者の要望もあり、ドローンを使った空中写真測量と3DCADソフトを使いコース設計を行いました。

一般的な道路設計とは違い、カートレースを行うためのコース安全証明であることがポイントでした。

3次元モデル化のメリット

ICT活用工事においても現場の3次元モデル化には様々なメリットがあります。
最大のメリットは現場が可視化(見える化)されるという点です。

この大会も同じです。幅員、勾配、コーナー角度などの要素を算出して設計されたコースは、専門家らにより安全検証が行われましたが、図面を見ただけでは専門家以外だとコースがイメージしづらいのが正直なところです。土木現場でも、現場監督と作業員のイメージの相違により、工程がスムーズに進められないということがあります。

ところが、ICT技術を取り入れ現場を可視化することで、各々のイメージが共有しやすくなり、その後の作業がスムーズになります。

携わる人が増えれば増えるほど、全員が共通認識を持ってイメージを共有するのは難しくなってきます。そのハードルを下げるのが3次元モデルです。誰が見てもわかる3次元化されたコースモデルは、専門家による安全証明だけではなく大会運営シミュレーションにも活用されました。

コースは安全防護体としてイタリア製の「GoTrack Barriers」を両側に敷設してつくられます。その個数や配置方法などの細かい規定についてもコースが3次元モデル化されていたことにより、関係各位の間でスムーズに協議を進めることができたのです。

度重なる変更に対応

この大会の構想は、今から7年前の2013年から始まっています。
東京から一番遠いまちの未来に一番近いストーリー「それは1枚の企画書から始まった1-1」

大会主催者は、警察や道路管理者、行政関連や地元関係者などとの様々な協議を幾度となく行ってきました。協議毎に細かいコース設計変更があり、その度にそれを修正するという作業が発生しました。

そんな度重なる設計変更に対応できたのは、わたしたちにノウハウがあったからです。現在i-Constructionの取り組みやICT施工導入のお手伝いをしている建設会社様とは、このノウハウを共有しながら一緒にICT土木を進めています。

ICT土木に必要な「実現力」を発揮

今回の大会へのサポートでは、関係各所との協議を行う大会主催者の要望を実現するため、前例がない事項に対する技術の応用と、度重なる変更への迅速な作業が重要でした。それを可能にしたのは、ICT土木現場で必要な「実現力」でした。

実現力とは、わたしたちがICT施工サポートの際に提供する3つの力「基礎力」「技術力」「実現力」の一つです。

ICT施工の基礎知識や理解度を表す基礎力、ICT施工を実施するための知識や施工技術を表す技術力、そしてICT現場での応用力、イレギュラー対応力、効果的・効率的な施工力・時間短縮する力を表すのが実現力です。かねてよりわたしたちは、建設会社の最適なICT化実現のためには、これら3つの力に加えて「時間短縮・適切な方向性・持続継続性」が必要であるとお伝えしています。

ICT土木で言えば、監督員との協議をスムーズに進めることと、日々変化する現場でのイレギュラーに迅速に対応できる力です。この実現力は、確かな基礎力と積み重ねた技術力に裏付けされた力でもあります。

SGMの「実現力」が高い理由

わたしたちは中国地方整備局の中国ICTサポート企業に登録されており、3次元測量から施工計画を含む総合マネジメントまで、5つのICT能力区分でサポートを行っています。
中国ICTサポート企業 ICT能力区分

そのようなサポートを可能にし、ICT土木の実現力を高められる理由は2つあります。

1.ICT活用工事のサポート工程を自社作業で完結

施工計画、3次元測量、3次元設計データ作成、ICT建機による施工の準備、位置計測システムの設置、出来形管理まで、わたしたちは外部委託を行わず自社作業で完結させます。

2.測量もできる経営コンサルティング会社

わたしたちは、建設業界だけではなく様々な業界への支援を20年以上続ける経営コンサルティング会社であり、そのコンサルティングノウハウをベースにしたICTソリューションに特化した測量会社なのです。

まとめ

日本のモータースポーツ業界、地方創生に取り組む自治体にとってのターニングポイントになるであろう記念すべき大会開催まで、残すところ数日となりました。

この「ねっとの窓口A1市街地グランプリGOTSU2020」は、当初より地元有志が集まり準備が進められてきました。また、当日までのコース準備、当日の設営、大会終了後の撤去など、安全かつ迅速でパワーのかかる作業は、地元江津市の建設会社が協力しあって行います。

日頃はライバル同士である地元建設会社の皆さんが、業界の古い常識を取っ払い、垣根を超えて同じ目標に向かって協力しあえるこの体制に、わたしたちは感銘を受けずにはいられません。

この大会をきっかけに、江津市の建設業界はこれから発展していくことでしょう。時代の変化を受け入れ、ともに未来に向かうことを選択した企業同士が集まれば何かが変わるはずです。
わたしたちは日本初のグランプリ成功を願うとともに、この大会を通してモータースポーツ業界だけではないあらゆる業界に勇気と感動が届けられることを確信しています。

 


わたしたちSGMは、3次元測量や3次元設計データ作成はもちろんのこと、施工計画から出来形管理の工程まで全て自社対応でICT施工のサポートを行っています。ICT施工の取り組みでお困りの方、もっと効率を上げたい方、利益を上げたい企業様などお気軽にご相談ください。

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https://kensetsu-ict.com/support/

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