日本初公道レースのコース安全検証にICT土木技術を活用(3次元測量編)

はじめに

来たる2020年9月20日(日)、島根県江津市で日本初の公道を使ったカートレースが開催されます。

わたしたちは、その記念すべき「A1市街地グランプリGOTSU2020」のオフィシャルパートナーとしてこのグランプリに参加しています。グランプリ開催決定前の2017年から、3次元測量や3次元モデル作成など、コースの安全検証や運営シミュレーションのための技術的なサポートを行ってきました。

わたしたちは、全国の建設会社様のi-Constructionの取り組み、ICT土木技術を使ったICT施工の導入をサポートしています。日本のモータースポーツ界にとって大きな飛躍となるであろうこのイベントに、ICT土木の技術がどうやって活用されていたのかを、全2回(3次元測量編・3次元モデル編)に分けてお伝えしたいと思います。

ICT技術イメージ

コースの安全検証

今回のグランプリが日本初の試みとして開催決定までこぎつけた要因の一つには、レース車両に初心者でも操作できる「レンタルカート」のエントリー車両を採用したことがあげられます。

とはいえ、公道を使うレースであることには変わりはなく、コースの確かな安全証明とレース運営の徹底した安全対策が必要です。
それらを検証するためには、まず次の判断材料が必要でした。

  • 走路幅員
  • 路面勾配
  • コーナー角度
  • 歩道幅員
  • バリケードの高さや数
  • クラッシュパッドの高さや数 など

予定されたコースは国道、県道、市道にまたがり、既存路線の現況を表す道路設計図などが手元に揃い切らない状況と、限られた予算、時間の中で設計を行うことから、判断材料を揃える手段についても主催者とともに検討を行いました。

そこで登場したのがICT土木の技術です。2017年は国土交通省の重点施策「生産性革命プロジェクト前進の年」と言われ、建設現場にICT技術を活用するi-Constructionの取り組みが国をあげて推進され始めた時です。

わたしたちも当時から建設会社様のi-Construction取り組みをサポートしていました。
そのICT土木の技術を活用し、グランプリコースを設計する江津駅前の約12万㎡にわたるエリアを3次元化することになったのです。

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産学連携のサポート

このグランプは、「A1」が意味する「anyone(=誰もが)」がテーマであり、”持続可能なCity(まち)を舞台に 自動車レースの枠を超えて、企業や研究機関がTechnologyとInnovation(技術革新)を発表、開発、実証実験することができる「まちの展示場」を目指し、これまでのモータースポーツとは違う「まち・ひと・技術・スポーツ」を融合”した全く新しいコンセプトで開催されるものです。

開催準備の段階からこれらのテーマとコンセプトに基づき、新技術の導入や地域振興を目的に準備が行われていました。

このコース安全検証は、島根県松江市の松江工業高等専門学校(以下、松江高専)、江津カートグランプリ実行委員会とわたしたちSGMの産学連携による作業で実現することができたのです。

松江高専の先生方とは2017年4月より検討会を行い、3次元測量の準備を進めていました。そして2017年6月、1度目の3次元測量を実施しました。

2018年度土木学会全国大会での発表

翌年の2018年8月、この取り組みを土木学会全国大会の年次学術講演で松江高専と共同発表しています。
「平成30年度土木学会 全国大会」市街地測量の取り組みを発表

 

講演では、主要駅周辺の国道、県道、市道を含む広範囲の測量に向けての準備や方法、3次元点群化の後に設計された予定コースの安全検証と安全設備について、コースレイアウト図を用いて説明を行いました。

日本初の市街地グランプリのコース設計と安全検証が目的の3次元測量ということもあり、発表後には他の自治体関係者の方からグランプリ実現に向けた応援の声をいただきました。

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2度目のドローン測量

実は、土木学会発表直前の2018年8月上旬に2度目のドローン測量を行っています。
予定コースの一部で道路整備があり、安全検証に必要な設計要素が大きく変更したため、2度目の3次元測量を行うことになりました。

昨今ドローンに関する法規制や申請基準は厳しくなっており、1度目の測量から約1年経過した2度目の測量時には、以前にも増して安全運用を徹底して作業を行いました。

わたしたちは業務上全国で測量対応が必要なため、事前に年間を通じた人口集中地域上空および第三者物件から30m未満の飛行許可を得ています。今回は主要駅前でのドローン飛行ということで、次の安全対策を追加し空撮を行いました。
※JRの線路をまたぐ飛行は行っていません

  • 撮影近隣住民の方への事前周知
  • 人や車の往来がほとんど無い早朝に作業
  • ドローン下に人、車の往来を避けた飛行

前回に比べて空撮範囲は半分以下と狭い範囲でしたが、上記対応を行うにあたり操縦士を含む7名体制で作業を行いました。

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GNSSローバーを使った座標計測

1度目と2度目の両方とも、各所に設置した対空標識の座標計測にはGNSSローバーを使用しました。計測範囲が広域であること、限られた時間内で作業を迅速に終了させる必要があることから、RTK-GNSSによる計測作業を行いました。

RTK、VRSの違いを説明 ICT施工ワンポイント講座第1回「RTK-GNSSについて」(Youtube動画)
GNSS固定局は江津市役所敷地内にある三等三角点に設置し、合計19点の座標を計測しました。

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3次元点群データ作成

2017年6月、2018年8月の2度にわたる空中写真測量を行い、膨大な撮影画像からSfmソフトによる3次元形状復元作業を経て、予定コースを含む江津市駅前の3次元点群データが完成しました。

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そして、この3次元点群データを基にコース設計と安全検証のための3次元モデル作成を行います。

3次元モデル作成については、次のコラム(3次元モデル編)でお伝えします。

 


わたしたちSGMは、3次元測量や3次元設計データ作成はもちろんのこと、施工計画から出来形管理の工程まで全て自社対応でICT施工のサポートを行っています。ICT施工の取り組みでお困りの方、もっと効率を上げたい方、利益を上げたい企業様などお気軽にご相談ください。

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