国土交通省・国土技術総合研究所「令和3年度 産学官連携によるICT施工の基準類作成に関する公募」への提案

はじめに

こんにちは。建設ICT.comのi-Constructionスペシャリストで測量士の川口です。

今日は、現在進行中の「令和3年度 産学官連携によるICT施工の基準類作成に関する公募」についての記事です。

皆さんは毎年国土交通省・国土技術総合研究所が共同で募集する「産学官連携によるICT施工の基準類作成に関する公募」をご存知でしょうか。

国土交通省HP
「令和3年度 産学官連携によるICT施工の基準類作成に関する公募」

「産学官連携によるICT施工の基準類作成に関する公募」とは、国土交通省がi-Constructionの推進と拡大のために、民間企業から出来形管理要領等の基準類の提案を募るものです。

国土交通省では、建設業における生産性の向上を図るため、全ての建設生産プロセスにCT等を活用するi-Construction を推進しており、ICT施工の普及促進にむけて必要となる基準類の整備を進めています。新たなICT機器の活用や既存のICT機器の活用範囲を拡大するため、民間企業等から基準類に関する提案を募集します。

令和3年度 産学官連携によるICT施工の基準類作成に関する公募」より

この令和3年度の公募(募集期間2021年4月27日〜5月28日)に、森下建設株式会社(一般社団法人島根県建設業協会に所属)と共同で4つの提案を提出しました。

今回は、私たちが提案した4つの工種の詳細と、審査状況の進捗についてお伝えしたいと思います。

提案の経緯

昨年末、当社がサポートする島根県江津市の森下建設株式会社様が、島根県発注工事で県初のICT法面工に挑戦することになりました。

そこで現場監督さんより、法面工にとどまらず工事に付随する他工種でもICTを活用したいとのご相談がありました。

(森下建設様のすごいところは、ICT指定工種でなくても積極的に自主的にICT活用に取り組みされるところです。詳細はこちらのページでもご紹介していますのでぜひご覧ください。)

ご相談があった工種は、軽量盛土工、アンカー工、擁壁工です。これらは出来形管理要領に定められていない工種(※)ですが、社内で検討を重ね、取り組みができそうだと判断し、サポートすることになりました。
※軽量盛土工は路体盛土工を準用可能ですが、一般的な認知度は低いです。

工事期間中は、既存の基準類を準用しながら、新たな管理方法を一つひとつ模索し受発注者間にて協議を重ねました。

最終的に、「ICT法面工」「軽量盛土工」、「アンカー工」と「擁壁工」の4工種において3次元計測技術を用いたICT出来形管理を実施し、この現場事例を今回の公募に提出しました。

ご提案内容の概略

<既存工種の提案>
1)法面工(厚さ管理)

<新工種の提案>
2)アンカー工
3)軽量盛土工
4)擁壁工

以下、1つずつ解説します。

1)法面工(厚さ管理)

ICT法面工の出来形管理基準にて「厚さ」管理における3次元計測技術を用いた出来形管理の提案。

出来形管理基準及び規格値
引用:国土交通省「出来形管理基準及び規格値(案)令和3年3月

2)アンカー工

アンカー工の出来形管理項目「配置誤差」に対して、3次元計測技術を用いた出来形管理の提案。

三次元計測技術を用いた出来形管理(アンカー工)1
三次元計測技術を用いた出来形管理(アンカー工)1

アンカー工の出来形管理項目「配置誤差」に対して、3次元計測技術を用いた出来形管理の提案。

三次元計測技術を用いた出来形管理(アンカー工)2
三次元計測技術を用いた出来形管理(アンカー工)2
従来出来形管理との計測精度の比較検証
従来出来形管理との計測精度の比較検証

三次元計測技術の活用により、高所での検測作業の削減・軽減も可能になり、現場の作業効率に加えて、安全性向上も期待できると考えられます。

3)軽量盛土工

三次元計測技術を用いた軽量盛土工の出来高管理の提案。

三次元計測技術を用いた出来高管理(軽量盛土工)
三次元計測技術を用いた出来高管理(軽量盛土工)

三次元計測技術を用いることで複雑な現地盤の現場でも、正確な出来高把握が可能になると考えられます。

4)擁壁工

擁壁工の出来形管理項目に対して、3次元計測技術を用いた出来形管理のご提案。

三次元計測技術を用いた出来形管理(擁壁工)
三次元計測技術を用いた出来形管理(擁壁工)

施工範囲全体の3次元化(見える化)により、出来形管理の品質向上にもつながると考えられます。

一次審査の結果

先日のブログでもご報告しましたが、2021年6月9日(水)に国土交通省・国土技術総合研究所よりリモートにて提案内容のヒアリングを受けました。

2021年7月14日(水)には、ICT導入協議会にて「一次審査結果の審議」が行われ、当方の4つの改訂案に対して、以下の一次評価結果が出ています。

<一次評価結果>
1)「レーザースキャナーを用いた吹付工(厚さ)の出来形管理技術」 ▶【B評価】
2)「アンカー工の配置誤差計測技術」 ▶【B評価】
3)「軽量盛土工の3次元計測技術を用いた出来高計測技術」 ▶【A評価】
4)「TLSを用いた擁壁工の出来形管理技術」 ▶【A評価】

参考:国土交通省 第13回ICT導入協議会「ICT施工の対象工種の拡大に向けた取組」

対応方針
A:今年度対応(提案技術に実用性が認められると同時に、要領化に必要なバックデータの蓄積が満たされている。あるいは業界ニーズが高いため今年度から検討に着手するもの)
B:来年度以降対応(提案技術に実用性が認められるものの、今後要領化に必要なバックデータや現場実績の蓄積が必要)
C:技術開発・現場導入がなされた段階で再度提案を受け付ける(技術が開発段階あるいは検討途上であり、今後技術開発・実現場での試行必要)
D:民間提案制度の対象外

引用:国土交通省 第13回ICT導入協議会「ICT施工の対象工種の拡大に向けた取組:R1~R2産学官連携による基準類作成の成果とR3対応方針(案)

【A評価】は今年度の基準類改定等で対応、【B評価】は来年度以降に基準類改定等で対応です。

三次元計測技術を用いた出来形管理(擁壁工)
引用:国土交通省 第13回ICT導入協議会 「ICT 施工の対象工種の拡大に向けた取組:TLSを用いた擁壁工の出来形管理技術
三次元計測技術を用いた出来形管理(擁壁工)
引用:国土交通省 第13回ICT導入協議会 「ICT 施工の対象工種の拡大に向けた取組:軽量盛土工の3次元計測技術を用いた出来高計測技術

要領化に向けて、今後も検証実験や立ち会いなどが続きます。

<今後の予定>
・ 2次審査提案(改定案、バックデータの作成)
・ 実現場における検証実験
・ 国土交通省 国土技術総合研究所の現場立会

発注元とのICT推進に向けた取組み

今回のICT法面工の取り組みに関して、森下建設株式会社様と弊社の共催で島根県職員様向けにICT現場見学会を開催いたしました。またその後、発注元(島根県浜田県土木整備事務所)のご担当が今回のICT取組み成果を「島根県土木施工管理技士会浜田支部 令和3年度特別研修」で発表されています。

ICT現場見学会
ICT現場見学会

まとめ

今回の取り組みで感じたことは、「ICT施工をやらなければならない。」ではなく「いかにICTを有効活用できるか。」の視点で取り組んでいくことで、見える視点が変わる、ということです。

今回は現場監督のアイデアで、ICT法面工だけでなく、他の3工種でもICTを活用することになりました。

3次元計測技術を活用したICT出来形管理では現場全体の見える化が可能になります。そのため、1つの工種だけではなく、複数工種での出来形管理が有効な現場も多くあるでしょう。

ICT施工への投資に対する費用対効果が、1工種の活用だけでは実感しにくいケースでも、複合的に活用するとよりメリットが生まれる現場もあると思います。

「ICTをどのようにしたら有効活用できるか? 」という視点から考えてみるのもいいかもしれません。

今回のコラムが少しでも参考になれば幸いです。

私たちも、引き続き現場のニーズに応え、より安全で生産性の高いサポートを目指してまいります。

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カリキュラム:
14:00〜 3次元計測を用いた出来形管理要領(案)の構成
14:30〜 UAV空中写真測量と地上型レーザースキャナーによる出来形管理の特徴
15:00〜 現場状況に応じた計測技術選択の留意点
16:00 閉講
吉田 なぎさ
講師: 吉田 なぎさ
JUIDA無人航空機操縦技能者 / i-ConstructionスペシャリストRM協会認定UAVアドバンスドマイスター / 車両系建設機械(整地等)運転技能者
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