はじめに
国土交通省から発表されたi-Constructionの取り組みと建設現場のICT化を推進する勢いは、最近の公共工事の入札情報を見ても留まる気配はありません。
ICT関連の情報も増える一方で、業界紙には「ICT」という文字を見ない日はないくらいです。
従来施工ではあまり使わなかったICT施工ならではの用語がいくつかあると思いますが、何となく普段から使ってはいるけど、理解が曖昧かもしれないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、建設ICT.comでは最新の情報をもとに曖昧な理解を明確にする「よくわかるICT施工用語解説」シリーズをお届けすることにしました。
用語解説だけではなく、ICT施工に関するちょっとした深掘り情報も付け加えます。この解説を見れば、国土交通省の要領を難なく読み取れるようになるかもしれません。
それでは、第1回目「UAV」の用語解説をスタートします。
UAVとは
構造上人が搭乗できない航空機、いわゆるドローンです。遠隔操作または自動操縦により飛行させることができる回転翼航空機を指します。
「Unmanned aerial vehicle」の頭文字からUAVと呼ばれており、ほぼ同じ意味でUAS (Unmanned Aircraft Systems)、マルチコプターと呼ばれることもあります。
ちなみに、国土交通省の出来形管理要領では次のように解説されています。
人が搭乗することなく飛行できる航空機であり、自律制御あるいは、地上からの遠隔操作によって飛行することができる。無人航空機にデジタルカメラを搭載することで、空中写真測量に必要となる写真を空中から撮影することができる。
※国土交通省 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)より抜粋
ICT施工での使用用途
素早く広範囲を撮影でき、人が入れないような場所にも入っていくことができるUAVは、測量現場での空撮画像解析による3次元データ作成や地形図作成のほか、災害時の状況確認や輸送、警備や報道など幅広い分野での活用が可能です。
このような特徴から、ICT施工でのUAVの主な使用用途は次の3つになります。
- 空中写真測量
- レーザー測量
- 現場管理写真の空撮
測量で必要なUAV機能
ICT施工の起工測量や出来形測量でUAVを使用する際には、国土交通省の出来形管理要領を基準にします。要領には、UAVの必要機能として次のような条件が規定されています。
撮影計測計画を満足する楊重能力
測量時には、事前に必ず計測計画を立てます。UAVを使用した測量の場合、飛行計画がそれに含まれます。
揚重能力とは、空中写真測量用のカメラ、レーザー測量用のレーザー照査機を持ち上げる力のことです。ある程度の大きさや重さのあるそれらの機器を搭載した状態で、計画通りに飛行できる揚重能力を備えたUAVである必要があります。
飛行時間を確保できる機体
広範囲の測量に向いているUAVは、ある一定時間飛行することで上空から写真撮影やレーザー照査を行います。その飛行時間を確保するための機能(バッテリーなど)を備えている必要があります。
また、機能以外で重要なのが運用管理です。あくまで航空機であるため、航空法に基づいた飛行と管理が求められます。
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主なUAVメーカーと機体
空撮、測量用としてICT施工現場で目にする機会が多いUAVのメーカーと代表的な機体を紹介します。
現在圧倒的なシェアを誇るのがDJIです。操作性、安全性、機能性に加えたコストパフォーマンスの高さが選ばれる理由でしょう。
DJI
Mavic2Pro | Phantom4RTK | Matrice210RTKV2 | Matrice600Pro |
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空撮用 | 測量用 | 測量用 | 測量用 |
プロとDJIファンのために設計されたコンシューマー向けドローンのフラッグシップモデル | 低高度での正確な地図作成ができる高精度のドローン写真測量のために設計されたモデル | 多様な産業分野におけるソリューションを提供したモデル | システムもモジュール構造のため追加モジュールの取り付けが容易なモデル |
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※建設ICT.com調べ(2021年2月時点)
わたしたちが、ICT施工現場で使用しているUAVのメーカーもDJIです。使用用途に応じて最適なメーカーと機体を選ぶようにしましょう。
建設現場での利用に特化したドローンスクール
わたしたちは、ICT施工現場の空撮と3次元測量の利用に特化した「土木UAVマイスター認定」のドローンスクールを運営しています。
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