よくわかる用語解説④【ICT建設機械(ICT建機)】

はじめに

近年のICT活用工事の増加に合わせ、大手建機メーカーからは様々なICT建機が販売されています。ICT施工において「ICT建設機械(ICT建機)」といえば花形的な存在ですよね。

ですが、中小企業にとってはなかなか導入しづらいのが実情です。

今回は「なぜICT建機の導入がなかなか進まないのか」という点に注目しながら、ICT建機の特徴について解説します。

ICT建機

ICT建機とは

マシンコントロール(以降MC)やマシンガイダンス(以降MG)の機能を搭載した建設機械のことです。

MCは自動車でいうところの自動運転のことで、バケットや排土板の高さ・勾配を建機自体が自動制御してくれる機能です。

MGは自動車でいうカーナビです。自動追尾式のTSやGNSSなどの位置計測装置を用いて、建機の位置情報を計測しながら、施工する箇所の設計データと現況地盤データとの差分を計算して、オペレーターに音声やモニター表示で作業箇所をお知らせする機能のことを指します。MCと違い、従来建機に後付けすることもできます。

▼MC・MGについて詳しくはこちら▼

ICT施工ワンポイント講座【第3回】マシンコントロール/マシンガイダンス(MC/MG)とは

ICT建機は従来建機に比べて作業効率や安全性が高い為、活躍の幅が広がると期待されています。
ではなぜ中小企業ではICT建機がなかなか導入されていないのでしょう?

地方の中小企業がICT建機を導入しづらい理由

初期投資額が高額

ICT施工では機械経費や間接費が従来施工と比べて割高になる傾向があります。ICT建機はGNSSの受信機や車載モニターなどの従来建機にはない部品が付属するため、自社購入にしろ、レンタルにしろ、建機自体の価格が従来建機に比べて2倍近くになる場合もあります。そうなると足踏みしてしまうのは当然ですね。

導入費用を抑えたい場合は、すでに所有している従来建機にMG機能を後付けすることを検討してもよいでしょう。

ICT建機導入コスト
※引用:国土交通省「ICT施工の普及拡大に向けた取組」(財務省財政制度等審議会財政制度科会歳出改革部会資料より)

オペレーターと相性が悪いことがある

ICT建機は設計ラインに基づいて自動制御や操作補助を行います。特にMC機能を搭載した建機は設計ライン通りに自動で動くため、オペレーターがラインからはずれた動きをすると勝手に止まります。自分の勘やセンスを頼りに建機を扱いたい方にとっては、ストレスを感じるかもしれません。

長年の経験から正確で適切な施工をすでに実現できるベテランオペレーターほど、この機能が煩わしく、自分で操作した方が速いのではないかと考えるようです。

その場合は、安全性の観点など、ICT建機を導入するメリットをきちんと説明し、操作補助であるMG機能の活用や、必要に応じて従来建機を組み合わせるなど、施工体制にあった建機選びとオペレーターへのフォローが必要になります。

▼ICT建機とオペレーターのコラムはこちら▼

ICT建機はオペが嫌がる⁉むしろ、できるオペほど乗りたがるという事実【前編】


ICT建機はオペが嫌がる⁉むしろ、できるオペほど乗りたがるという事実【後編】

従来建機と比較してのメリット

ではICT建機を導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

オペレーターの技術に依存しない

従来の建機は同じ資格を持っていても、操縦するオペレーターの経験と技術に依存する性質があり、よって施工精度や作業効率にばらつきが生まれます。

ところがMC・MG機能を活用すれば、オペレーターの経験や技量に左右される心配はありません。

そのため、ベテランはもちろん経験の浅いオペレーターでも、精度と効率を高める作業が可能になります。

対応現場数が増えるだけではなく、人材育成の面から見てもICT建機の導入は非常に効果的です。

作業効率と安全性が高くなる

従来施工の場合はあらかじめ人の手で丁張をかけ、工程をすすめながら設計や検測の作業を繰り返す必要があり、オペレーターのほかに補助作業員を配置して作業を行います。

ICT建機の場合はあらかじめ入力した3次元設計データをもとに、建機内のモニターや音声で設計ラインを確認しながら施工を進めるため、丁張や補助作業員を削減することができます。

何度も建機から乗り降りして施工個所の確認をする必要もなく、少ない人員で作業が進むので、時間の短縮、作業の効率化と安全性を確保できるのが大きなメリットです。

利益率が上がる

上記で述べたようにICT建機は作業効率を向上させることができます。そのため一現場当たりの作業人数を減らすことができる他、工期の短縮にもつながります。ICT施工は測量から納品までの延べ作業時間が従来施工に対して土工で約3割、舗装工で約4割、浚渫工(河川)で約1割も縮減できるとされています。

その結果、工事の受注件数を増やし、ICT施工のインセンティブを受けられ、利益率を向上させることもできます。

また、ICT建機を保有していることにより、発注件数も工種も拡大傾向にあるICT活用工事においては、優位性を示せる機会が増えるのではないでしょうか。

ICT建機導入による利益率
※引用:国土交通省「ICT施工の普及拡大に向けた取組」より

まとめ

ICT建機は、初期投資額が高額な代わりに、きちんと活用することができれば、利益率を向上させることができます。

まずはICT建機を導入するメリットとデメリット、ICT施工の流れを現場監督含め社内全体でしっかりと理解し、会社の状況に合わせた建機を選定していくようにしましょう。

▼ICT建機選定方法についてはこちらの記事をチェック▼

ICT建機選定のポイント【ICT施工実務シリーズ⑤】

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