こんにちは。建設ICT.com編集部です。
加速する建設ICT化に対応しようとすると設備投資が必須になるかと思います。そんなときに利用できる財政支援制度を行政機関はいくつか用意しています。
しかし、それぞれどのような制度なのかよく分からないという企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、「助成金・補助金・税制優遇」の3つの制度について、制度の特徴やちがいをまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
そもそもどんな制度なのか
「助成金」は、景気悪化等により雇用の確保や労働環境の整備が難しい会社に向けて、雇用や労働環境、労務問題等の整備・改善を支援することを目的として給付されるものです。
この助成金とよく似ているものに「補助金」があります。
補助金は、主に国や地方自治体が、政策目的に沿った事業を行う企業等に対して、資金面を補助するために給付します。新規事業や創業促進、雇用の安定等が目的とされます。
さらに、「税制優遇」という制度も存在します。
これは、一定の要件を満たした団体について、通常とは異なる税制措置がなされる制度です。
補助金と助成金はどちらも、返済義務はありません。ただし後払いのため、補助事業を実施する時点では自力での資金確保が必要になります。
また、補助金・助成金は申請等をすることによって金銭の給付を受けることができる制度であるのに対して、税制優遇は給付がなく税金面でメリットを受けられる制度であるという点で、大きなちがいがあります。
制度別の特徴まとめ
対象者 | 支援の目的 | 特徴 | |
---|---|---|---|
助成金 | 雇用の確保や労働環境の整備が難しい企業など | 雇用や労働環境、労務問題などの整備・改善を支援 | 返済義務はないが後払い |
補助金 | 政策目的に沿った事業を行う企業など | 新規事業や創業促進、雇用の安定など | |
税制優遇 | 一定の要件を満たした団体 | 生産性向上や経営強化 | 金銭の給付はない |
助成金と補助金のちがい
ここでは、特に混同されやすい「助成金」と「補助金」に着目し、その違いについてみていきます。
受給できる確率
助成金は、それぞれ必要とされる要件に当てはまっていれば、ほとんどの場合受給が可能です。
しかし補助金は、国家予算の中から支給されるため厳しい基準や審査があり、申請したからといって必ず受給できるというものではありません。
給付額
助成金の給付額は数十万円~高くても百万円程です。
一方で補助金は、数百万円~数十億円まで給付されることもあるため、大型の機械投資をするような場合に補助金が受給できるととても便利です。
募集期間
助成金は一定の要件を満たすことで支給されるという性質から、随時申請可能なものが多く、申請期間も長くなっています。
補助金の場合は、予算が決定してからの募集となるため、年度初めに公募が多く、申請期間は数週間から数か月程度と短い場合が多いです。
助成金と補助金の違いまとめ
受給の確率 | 給付額 | 申請時期 | 募集期間 | |
---|---|---|---|---|
助成金 | ほとんどの場合可能 | 数十万~百万円程度 | 随時 | 長め |
補助金 | 厳しい基準や審査あり | 数百万~数十億円 | 年度初め | 短め |
助成金と補助金の具体例
ICT施工導入の際にも利用できる実際の制度を例に、もう少し詳しくみていきましょう。
助成金:人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース
厚生労働省が管轄する助成金です。
受給までのフローは以下の通りです。
職業能力開発推進者が選任されていることと、事業内職業能力開発計画が作成されていることが申請の前提となります。
助成の対象としては、大きく分けて「経費助成」と「賃金助成」があります。
対象 | 助成率・助成額 | |
---|---|---|
経費助成 | 部外講師の謝礼、教科書代、資格等の受験料など | 75% (10時間以上100時間未満の訓練の場合、30万円が上限) |
賃金助成 | 所定労働時間内の賃金 | 960円(1人1時間当たり) |
OFF-JTにより実施されることや、実訓練時間数が10時間以上であることなどの要件はありますが、比較的満たしやすいものが多いです。
要件を満たした訓練を計画に沿って実施すれば基本的に受給が可能なため、利用にあたってのハードルは低いのではないでしょうか。
公募期間が区切られていないため、各企業様のペースで計画等を進められる点も、助成金をおすすめするポイントです。
※参考リンク
人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース
補助金:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
通称「ものづくり補助金」と呼ばれる、中小企業庁(経済産業省)が管轄する補助金です。
以下が、申請のフローです。
受給を受けるための審査が、②申請受付と④交付申請の2回設けられており、厳しい審査が行われることが見て取れると思います。
要件も「付加価値額を年率平均3%以上増加」させることや、「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」させることなど、細かく厳しいものがあります。
しかしその分、要件を満たして交付申請に通れば、以下の通り受給額は大きいものになります。(通常枠の場合)
対象 | 補助率 | 補助上限額 |
---|---|---|
機械・ソフトウェア等の購入・借用に要する経費など | 1/2 (小規模・再生事業者は2/3) |
750万円~1,250万円 |
大規模な設備投資を行う場合などには、補助金の活用を検討してみることをおすすめします。
※参考リンク
ものづくり補助金総合サイト
税制優遇:中小企業経営強化税制 A類型:生産性向上設備
中小企業庁が管轄する税制優遇制度です。
利用のフローは以下の通りです。
①に関しては、「生産性向上整備の要件を満たす」ことを示す証明書を、メーカー等を通じて工業会に依頼、取得する必要があります。
税務申告の際に、①の工業会証明書と②の計画認定書のコピーを納税書類に添付することで、税制優遇が受けられます。
対象設備には機械装置やソフトウェアが含まれ、指定期間内に設備投資等を行った場合に、即時償却又は取得価額の10%の税制控除のいずれかを選択して適用することができます。
指定期間の定めはありますが、これは平成29年4月1日~令和7年3月31日と、長期で設定されているため、補助金と比べて余裕があるといえます。
制度を利用するためには経営力向上計画の作成が必要であるため、難易度が高く感じるかもしれません。
しかし、補助金の申請時に経営力向上計画の認定があれば加点を受けて審査に通りやすくなる場合があること、補助金を受けた場合でも税制の対象となれることなどは、この制度の大きなメリットです。
一度検討してみる価値は十分にあるのではないでしょうか。
※参考リンク
経営サポート「経営力強化法による支援」
建設ICT.comでサポートできること
建設ICT.comでは、行政機関の財政支援制度導入についても、建設ICT化を進めるうえで必要となる企業様には条件に応じてサポートを行っています。
助成金
各企業様にとって最適な助成金の提案や受給に必要な環境整備のためのサポートを行います。
ただし、厚生労働省が管轄する助成金の場合、申請書等の作成・提出に関わる手続きを代行できるのは、社会保険労務士に限定されています。
そのため実際の手続きの際には、社会保険労務士に依頼するかご自身で行っていただく必要がありますので、ご注意ください。
一方で、経済産業省や地方自治体など厚生労働省以外が管轄する助成金については、建設ICT.comで書類作成等の申請業務までサポート可能な場合もあります。
迷う場合には、まず一度ご相談いただければと思います。
補助金
補助金については、需給のためのアドバイスはもちろん、申請に関する手続きや受給決定後の報告関係の手続きなど、全般的にサポートが可能です。
ご希望の際には申請を代行することもできますので、お気軽にご相談ください。
税制優遇
税制優遇を受ける際にも建設ICT.comでサポートを行います。
例えば、先ほどご紹介した「中小企業経営力強化税制」については、申請の際に必要となる「経営力向上計画」の作成の代行やアドバイスが可能です。
利用する制度によってサポート可能範囲や必要な準備が異なりますので、ご不明点等がございましたらお問い合わせください。
以上、行政の用意している支援制度である「助成金・補助金・税制優遇」について、それぞれの特徴やちがいをご紹介しました。
これらの制度は期間が決まっているものも多くあります。こまめに情報を確認し、活用したいものがあれば、早めに準備をすることをおすすめします。
建設ICT.comでもさまざまなサポートが可能ですので、お気軽にお問合せください。