※今回は過去に遡ってTSの実地練習の様子をお届けします。時系列が現在に追いつくまではしばらく、この形で記事をお送りしようと思っています。
さて、とある建設会社の資材管理所をお借りして、宮川さん指導のもとTS(Nikon Trinity)の練習をさせていただきました。
見たことはあってもTSに触るのは初めて。高価な機器ですのでケースを地面にそっと置くのも、脚頭に乗せることすら緊張が伴い、まるで初めて公道で自動車を走らせたときのように緊張と期待感を思い起こします。
接眼レンズのクリック感・回転部の限りなく滑らかな作動に、正真正銘の精密機器の感触を覚えます。何もかもが新鮮です。
さて、機械好きのマニアックな感動はさておいて、まずは基準点を結ぶ視野が確保されていることを確認して、最初は後方交会で、次いで既知点設置でも測定を行います。今回は測量ではなくTSの操作に慣れることが目的なので、既知点同士を短路線で結ぶシンプルな路線です。
私がもたもたしている合間に、宮川さんは計測が早いです。どうやっているのか言葉だけではなく、見て学びます。
- 脚のクランプ調整だけで、TSの気泡管を見る前にほぼ水平を出す方法。
- 既知点設置の際に三脚の中心点を基準点の鉛直上にもっていく際、三脚の脚二本を両手で動かして求心望遠鏡を使う前にほぼ鉛直を出す方法。
…測量士補試験の教科書などでは学べない、まさに実学です。
ポイントを教えていただいたことで、コツを掴んだら意外にも初心者の私でもできるようになりました。TSを載せた後はほんの微調整で済むので作業効率がはかどります。宮川さんの作業スピードはそれにしてもはるかに速いですが。
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今回の練習ではTSの操作に加えて、後方交会と既知点設置とでは明らかに精度の差が出ることを目の前で検証できました。
もう一つ、計測途中で宮川さんと私とで精度の差が出る理由が判明したところで現場作業時間が終わってしまったので、今日はここまで。
今日の学び
精度の差が出る一つの理由は視差/パララックスでした。望遠鏡の焦点が本当に合っているかどうかは、プリズムの像がはっきり見えるかどうかに加えて、少し顔を動かして視差/パララックスが発生しているかどうかでわかると実機で検証できました。小技ですが精度に貢献します。