【建設ICT.comがお届けするICT施工ワンポイント講座!】
第3回目のテーマは「マシンコントロール/マシンガイダンス」です。
「ICT建機の名前かな?」
「自動で機械が動くんでしょ?」
「やっぱり人間じゃなきゃだめでしょ」
ICT施工の花形と言っても過言ではない、ICTバックホウ、ICTブルドーザーなどのICT建設機械。
そんなICT施工には欠かせない建機の機能についてわかりやすく解説しています。
※動画の内容は本コラムにも転載しています。
以下、動画の内容:
はじめに
ICT施工ワンポイント講座、本日のテーマは、マシンコントロール(MC)/マシンガイダンス(MG)です。
マシンコントロール/マシンガイダンスとは、土木工事で使う建設機械の機能の名称となります。
ICT施工の前には情報化施工という用語が一般的だったのですが、その時代から使われているのがマシンコントロール/マシンガイダンスという機能になります。
i-Constructionの取組発表後、ICT施工を語るにあたって必ず登場する用語として皆さんもよく聞かれているのではないでしょうか?
すでにどんなものかはご存知の方も多いかと思いますが、改めて今さら聞けないという方のために、この講座ではマシンコントロール/マシンガイダンスについてわかりやすく解説していきたいと思います。
ICT建設機械
ICT施工時に使用する、主なICT建設機械、ICT建機はというと…
★ICTバックホウ・油圧ショベル
掘削、整形などを行う建機になります。
バケット、アタッチメントを変えて色んな作業ができる土工全般で活躍する万能機です。
★ICTブルドーザー
盛土工事などで必要な建機になります。
撒きだし、敷き均し、締め固めなどを行う建設機械です。
★ICT転圧ローラー
締固めなどを行う盛土工事や舗装工などで必要な建設建機です。
ICT土工で使用頻度の高い3機種をピッアップさせていただいていますが、工種によっては、舗装工で使用するグレーダーなどもこのICT建機の中に加わってきます。
詳しい内容に関しましては、建機メーカーさんによって取り扱いの機種、仕様が異なりますので、お知り合いのメーカーさんに必ずお尋ねいただくようにお願いいします。
この講座では、このような建設機械のマシンコントロール(MC)/マシンガイダンス(MG)機能についてをお伝えしていきます。
では、このマシンコントロール/マシンガイダンスとはどういった機能を指す言葉でしょうか。
マシンコントロール(MC)/マシンガイダンス(MG)とは
結論からお伝えいたしますと、マシンコントロール/マシンガイダンスとは、
★ICT建機の位置を計測しながら
自動制御(マシンコントロール)や、操作補助(マシンガイダンス)により、
施工の効率と精度を上げる機能
のことを指します。
「具体的には何ができるのか」、「そちらの機能を使うためには、何が必要なのか」について、もう少し詳しく解説していきたいと思います。
参考資料
詳しい解説の前に、今回の講座で参考にさせていただいた資料をご紹介いたします。
今回の講座の参考資料は、国土交通省 近畿地方整備局の手引書になります。
資料のリンクは概要欄に貼っておきますので、より詳しい内容をご覧になりたい方はそちらをご参照ください。
▽国土交通省 近畿地方整備局
マシンコントロール/マシンガイダンス技術(バックホウ編)の手引書(平成30年2月)【施工者用】
マシンコントロール/マシンガイダンス技術(ブルドーザ編)の手引き(平成30年2月)【施工者用】
マシンコントロールとマシンガイダンスの違い
では、マシンコントロールとマシンガイダンスの違いについて説明します。
ICTバックホウのマシンコントロール
まずは、ICTバックホウのマシンコントロール機能の一例で解説します。
あらかじめ設定された施工データの施工目標面に対して作業を行います。
施工したい箇所の設計データと現地盤データとの差分に基づいて、操作を半自動で制御してくれるシステムなので、最初にオペレーターさんは現地盤に食い込むようにバケットを操作していきます。
バケットの刃先が設計目標面よりも深く入り込むことなく操作が可能ですので、比較的操作がしやすく、オペレーターさんの技術に依存する度合いが低くなります。
このように、バケット操作を半自動で制御してくれるシステムなので、『マシンコントロール』といいます。
ICTバックホウのマシンガイダンス機能
続いては、ICTバックホウのマシンガイダンス機能の一例です。
現地盤よりも仕上げ面までどれだけ差分があるかという情報を操作画面や操作音で確認することができます。
操作を行うのはすべてオペレーターさんで、あくまでも建機は操作補助になるため、『マシンガイダンス』といいます。
ICTブルドーザーのマシンコントロール機能
続いて、ICTブルドーザーのマシンコントロール機能の一例です。
ブルドーザーの操作画面には、現地盤データと設計データとの差が表示されています。
施工状況を確認しながら作業を行います。
排土板の上下と傾斜は自動制御されるため、オペレーターさんの作業はブルドーザーの前後進と排土板の左右のアングル操作のみになります。
ICTブルドーザーのマシンコントロール機能
マシンガイダンスの場合は、排土板の操作は従来通り、オペレーターさんが全て行います。
マシンコントロール/マシンガイダンス仕組み
では、なぜこのような操作ができるのでしょうか。
マシンコントロール、マシンガイダンスの仕組みを簡単に解説したいと思います。
それは、
★ICT建機の位置をリアルタイムに計測できることと、
★正確な設計データが建機に設定されているからできるということとなります。
位置計測の方法
ICT建機の位置情報をリアルタイムに計測する方法は大きく2種類あります。
トータルステーションを使って建機を追尾しながら計測する方法とGNSS(人工衛星)からの情報を受信して計測する方法です。
測位システムの詳細については、第1回の動画「RTK-GNSSについて」で解説しています。
ご興味がある方は下記のリンクからぜひご覧ください。
【第1回】RTK-GNSSとは?
従来の施工作業について
では、ここで従来の施工作業についてお話ししたいと思います。
従来手法では、丁張りと検測作業を繰り返し行いながら施工作業を行います。
このように従来手法では、
- 丁張りの設置や検測に労力・時間を要する
- 施工時間がオペレータの技能に左右される
- 検測者が重機付近で作業するため危険
という現状の課題があります。
そこでマシンコントロール/マシンガイダンスの機能を導入した施工作業を主なうことで、次のようなメリットが得られます。
マシンコントロール/マシンガイダンス導入のメリット
- 丁張りの設置、検測作業の省略により施工が効率化する。
- オペレータによる丁張り、施工状況の目視確認の省略により、施工時間がオペレータの技能に左右されない。
- 重機付近の作業員を削減でき、安全性が向上する。
以上、ICT施工におけるマシンコントロール/マシンガイダンスについて解説をしました。
講座のワンポイント
今日の講座のワンポイントはこちらです!
★使用するICT建機と位置計測システムの選択が大事!
工事現場の利益は建機の稼働日数で左右されます。もちろんリースか自社保有かで大きく違います。最初の建機選定と位置計測システムの選択が非常に大事になってきます。何を選択するかは、工程管理や施工効率、精度にも大きく関わってきます。
ICT施工の利益化にも繋がりますので、施工計画の段階で適切な選定を行うようにしましょう!
それでは、今日のICT施工ワンポイント講座を終了します。
また次の講座でお会いしましょう。