※2024年11月更新情報です。
こんにちは。建設ICT.com編集部です。
ICT施工指定型の発注は全国的にますます増加し、ICT施工導入が喫緊の課題になっている企業様も多いと思います。
ICT施工導入で必ずネックになるのが、建設機械やドローン、ソフトウェアなどICT設備の導入コストではないでしょうか。
そんな中で、国や自治体は、ICT設備導入に関して様々な財政支援を打ち出しています。
そこで今回は、ICT施工に利用できる可能性が高い補助金や助成金について建設ICT.com編集部がまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
ICT施工の導入に関する補助金等の制度
ICT施工の導入に関する主な補助金は以下の通りです。
- ICT建機やICTシステム機器を導入したい!方におすすめの制度
- ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業)
- 事業再構築補助金
- 3次元データ作成ソフトを導入したい!方におすすめの制度
- IT導入補助金2024(正式名称:サービス等生産性向上IT導入支援事業)
- セミナー、研修、職業訓練を受けたい!方におすすめの制度
- 人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキング支援コース)
- その他税制優遇、低利融資制度
- 先端設備等導入制度
- 中小企業経営力強化税制
- IT活用促進資金
ICT施工導入に利用できる可能性がある補助金等の一覧 ※2024年10月現在
区分制度名概要対象実施期間・問い合わせ先
補助金 | ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金) | 生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資 | 購入費 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構 |
---|---|---|---|---|
事業再構築補助金 | 思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援 | 購入費 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構 | |
サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金2024) | ITツールのソフト本体、クラウドサービス、導入教育費用他 | 購入費 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構 | |
助成金 | 人材開発支援助成金 | 事業主等が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識および技能を習得させるための訓練経費や賃金の一部を助成する制度 | 研修費・賃金補填 | 厚生労働省 |
税制優遇 | 先端設備等導入制度 | 一定期間内に販売されたモデルで、生産性が旧モデルと比較して1%以上向上する建設機械、ICT施工機器等 | 固定資産税 | 各自治体 (市区町村が「導入促進基本計画」の同意を受けている場合に認定を受けることが可能) 中小企業庁 |
中小企業経営強化税制 | 生産性が年平均1%以上向上する建設機械、情報化施工機器等 | 法人税 | 中小企業庁 | |
低利融資 | IT活用促進資金 | ICT施工機器の購入・賃借 | 購入・賃借 | 日本政策金融金庫 |
1.ICT建機やICTシステム機器を導入したい!方におすすめの制度
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業)
一般的に「ものづくり補助金」と呼ばれる中小企業・小規模事業者を対象とした補助金です。新しいサービスや生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等の費用を一部補助してくれます。
第17次公募では、前回までのものから大幅な変更がありました。
申請の枠組みは下表のとおりですが、「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」を押さえておけばよいでしょう。
省力化(オーダーメイド)枠 | 製品・サービス高付加価値化枠 | グローバル枠 | ||
---|---|---|---|---|
通常類型 | 成長分野進出類型(DX・GX) | |||
補助上限額 | 750万~8000万円 (1000万~1億円) |
750万~1250万円 (850万~2250万円) |
1000万~2500万円 (1100万~3500万円) |
3000万円 (3100万~4000万円) |
補助率 | 中小企業: 1/2 小規模・再生: 2/3 ※補助金額1500万円までは1/2or2/3、1500万円を超える部分は1/3 |
中小企業: 1/2 小規模・再生: 2/3 新型コロナ回復加速化特例 2/3 |
2/3 | 中小企業: 1/2 小規模: 2/3 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権関連経費 等 |
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例:補助事業終了後、3~5年で大幅な賃上げに取り組む事業者(給与支給総額 年平均成長率+6%以上等)に対して、補助上限額を100万円~2000万円上乗せ(新型コロナ回復加速化特例適用事業者を除く。)
ものづくり補助金の対象となる中小企業、小規模事業者は、業種に応じた資本金や従業員の規定が定められています。
建設業の場合
- 資本金: 3億円以下
- 従業員数: 300人以下
であれば、ものづくり補助金の対象となります。
また、基本要件(共通)としては、以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行が必要です。
- 付加価値額 年平均成長率3%増加
- 給与支給総額 年平均成長率1.5%増加
- 事業場内最低賃金>地域別最低賃金+30円
今回の変更で注目すべきは、新設された「成長分野進出類型(DX・GX)」。
DX等の分野に挑戦する企業を重点支援することが明らかにされたことになります。
第18次公募の要領において、その詳細が確認できます。
建設業界でもDX化が進められている中ですので、ぜひチェックしておくべきでしょう。
ものづくり補助金は、2024年3月で第18次公募まで終了しています。
次回についての発表はまだされていませんが、ものづくり補助金は令和2年3月の第1次公募開始以来、通年で公募が行われています。
今後も公募がある可能性が見込まれますので、定期的にチェックするとよいでしょう。
参考・問い合わせ
事業再構築補助金
思い切った事業再構築に取り組む中小企業等の挑戦を支援するための補助金であり、機械装置やソフトウェア等の購入に係る費用の一部を補助してくれます。
もともと新型コロナ対策として始まった補助金ですが今年度から事業類型が見直され、「今なおコロナの影響を受ける事業者への支援」及び「ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者への支援」に重点化されました。
申請類型の枠組みも新しくなったため、以下にご紹介します。
成長分野進出枠 | コロナ回復加速化枠 | サプライチェーン 強靭化枠 |
|||
---|---|---|---|---|---|
通常類型 | GX進出類型 | 通常類型 | 最低賃金類型 | ||
対象 | ・ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者 ・国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者 |
ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組をこれから行う事業者 | 今なおコロナの影響を受け、コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者や事業再生に取り組む事業者 | コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を受ける事業者 | ポストコロナに対応した、国内サプライチェーンの強靭化に資する取組をこれから行う事業者 |
補助上限 (従業員30人の場合) |
3,000万円(※4,000万円) ※短期に大規模賃上げを行う場合 |
中小:5,000万円(※6,000万円) 中堅:1億円(※1.5億円) ※短期に大規模賃上げを行う場合 |
2,000万円 | 1,500万円 | 3億円(※5億円) ※建物費を含む場合 |
補助率 | 中小企業:1/2(※2/3) 中堅企業:1/3(※1/2) ※短期に大規模賃上げを行う場合 |
中小企業:2/3 中堅企業:1/2 |
中小企業:3/4(一部2/3) 中堅企業:2/3(一部1/2) |
中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
|
対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費・専門家経費、広告宣伝費、販売促進費、研修費、廃業費 ※廃業費は成長分野促進類型(通常類型)のみ |
建物費、機械装置・システム構築費 | |||
必須要件 | A:事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である B:事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること C:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0~5.0% 又は 従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0~5.0% ※その他、事業類型ごとの補助対象要件あり |
共通要件のAは前年度までも存在したもので、事業再構築補助金の特徴的な要件です。新たな市場への進出や事業再編等が求められます。
事業再構築の類型には、「新市場進出(新分野展開、業態転換)」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」「地域サプライチェーン維持・強靭化(サプライチェーン強靭化枠のみ)」の6つがあります。
※事業再構築指針の詳細はこちら
2024年7月26日に第12回公募が終了しました。
今後のスケジュールは未定ですが、補助金利用を考えている企業様は、こまめにチェックすることをおすすめします。
参考・お問合せ
2.3次元データ作成ソフトを導入したい!方におすすめの制度
IT導入補助金2024(正式名称:サービス等生産性向上IT導入支援事業)
IT導入補助金2024とは、経済産業省が実施している中小企業・小規模事業者・個人事業者向けの制度で、業務効率アップを目的としたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入にかかる経費のうち最大450万円が還元される制度です。
しかし、申請すれば必ず還付されるわけではなく、いくつかの要件がありますので、公式サイトと導入したいソフトウェアメーカーの情報をしっかり確認しましょう。
ここでは、土木建設業界でおなじみの「福井コンピュータ」の例を紹介します。
福井コンピュータ
・ 対象者: 中小企業・小規模事業者等
※建設業の場合、資本金3億円以下または従業員300人以下の法人および個人事業主・ 補助内容: 当事業で承認されたソフトウェア、保守、サポートの導入費
※ハードウェアは対象外
※B類型、デジタル化基盤導入類型への申請はできない
※補助金は、IT導入補助金事務局より補助対象者に直接支払われます。
補助率 補助金額 A類型 ソフトウェア費・導入関連費等の1/2以内 上限額:150万円未満(下限額:5万円) 主な
対象製品測量CADシステム「TREND-ONE」
土木施工管理システム「エクストレンド武蔵」
3D点群処理システム「TREND-POINT」
BIM/CIMコミュニケーションシステム「TREND-CORE」
点群ソフトウェア「MetaShape」、など引用:福井コンピュータ: IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)について
各ソフトメーカーがIT導入補助金をサポートしていますので、検討されている方は各社サイトでご確認ください。
- 福井コンピュータ: IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)について
- 建設システムIT補助金に関するご案内
ちなみに建設ICT.comは福井コンピュータと建設システムの販売店です。「どのようなソフトを導入して良いかわからない」「3次元設計データ作成の基本が知りたい」などお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
IT導入補助金2024としては、2024年10月15日に公募が終了しました。
しかし、来年度以降も継続して公募が行われることはほぼ確定ですので、こまめにご確認ください。
IT導入補助金2024のスケジュールはこちら
IT導入補助金の申請には、gBIZIDプライムアカウントの取得やセキュリティアクション自己宣言IDの取得、また事業計画書の作成などが必要ですので、時間に余裕を持って準備したほうが良いでしょう。
またソフトメーカーへの書類提出期限は公募締切日よりさらに前のことが多いため、早めに各ソフトメーカーに問い合わせされることをおすすめします。
3次元設計データ作成に必須なソフトウェア。補助金をうまく活用すれば導入しやすいですね。
詳細についてはIT導入補助金ホームページをご覧ください。
参考・お問い合わせ
- IT導入補助金(PDF)(令和6年9月時点版)
- IT導入補助金2024
3.セミナー、研修、職業訓練を受けたい!方におすすめの制度
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、企業が従業員の職業能力開発に取り組んだ場合に、研修受講費や賃金の一部が助成される制度です。人材開発支援助成金は、目的によって異なる7つのコースが用意されています。
建設労働者技能実習コース
中でも建設業に特化した「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)」は、建設事業者主が建設労働者の雇用の改善や建設労働者の技能の向上等を図るための取組を行った場合に助成を受けることができます。
人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)
建設労働者 認定訓練コース |
認定職業訓練または指導員訓練のうち、建設関連の訓練を実施した場合 | 経費助成 対象経費の1/6 |
---|---|---|
建設労働者に対して認定訓練を受講させた場合 | 賃金助成 3,800円/人日 <1,000円/人日>※ |
|
建設労働者 技能実習コース |
若年者等の育成と熟練技能の維持・向上を図るため、キャリアに応じた技能実習を実施した場合 | 中小建設事業主(20人以下) 経費助成 3/4<3/20>※ 賃金助成 8,550円/人日 <2,000円/人日>※ 中小建設事業主(21人以上) 経費助成 7/10<3/20>※ 賃金助成 7,600円/人日 <1,750円/人日>※など |
※ <>は賃金要件または資格等手当要件を満たした場合の増額分です。助成額は100円未満切り捨てとなります。
引用
- 建設労働者認定訓練コース(令和6年度)(PDF)
- 建設労働者技能実習コース(令和6年度) (PDF)
- 建設事業主等に対する助成金のご案内(令和6年度)(PDF)
事業展開等リスキリング支援コース
事業展開等リスキリング支援コースは令和4年12月に新設された制度です。
企業の持続的発展のため、新製品の製造や新サービスの提供等により新たな分野に展開する、または、デジタル・グリーンといった成長分野の技術を取り入れ業務の効率化等を図るため、
- 既存事業にとらわれず、新規事業の立ち上げ等の事業展開に伴う人材育成
- 業務の効率化や脱炭素化などに取り組むため、デジタル・トランスフォーメーション(DX)化やグリーンカーボンニュートラル化に対応した人材の育成
に取り組む事業主を対象に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を高率助成により支援する制度です。
まさにICT活用、建設DXの人材育成に最適な助成金と言えます。
建設業の場合、資本金3億円以下、労働者数300人以下の中小企業に該当し、企業の事業活動と区別して行われる訓練(研修など)に対して経費助成75%、賃金助成960円(1人1時間あたり)が助成されます。
実訓練時間が10時間以上であることが必要ですが、本気でICT技術を習得しようとすると10時間程度の研修は必要になってくるでしょう。ICT人材の育成や技術力向上にピッタリの助成金ですね。
令和6年度版の詳細パンフレットはこちら
- 事業展開等リスキリング支援コース (PDF)
建設ICT.comのお客様の中にも、過去に人材開発支援助成金を活用して法人様向けカスタマイズ研修受講された企業様が何社かいらっしゃいます。
この機会に活用を検討してみてはいかがでしょうか。ご不明な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。
参考・お問い合わせ
- 厚生労働省 人材開発支援助成金
- 厚生労働省 建設労働者認定訓練コース(令和6年度)(PDF)
- 建設労働者技能実習コース(令和6年度) (PDF)
- 事業展開等リスキング支援コース リーフレット(PDF)
長くなりましたので、ICT施工に関する補助金・融資等の制度 その(2)に続きます。
その(2)では、ICT施工導入に使える税制優遇や融資制度について説明します。
▽ICT施工に関する補助金・融資等の制度 続きの記事
【2024年11月最新版】活用したい!ICT施工に関する補助金・融資等の制度 その(2)