2021年12月9日(木)、わたしたちは東京都立産業貿易センターで開催された「ジオスペーシャルフェア 2021」に参加してきました。日頃、ICT現場で使用しているニコン・トリンブル製品の注目製品情報や、新機能・新技術の紹介、実機を使ったデモンストレーション、メーカー担当の製品紹介セミナーなど、充実の内容でしたのでイベントの様子をレポートしたいと思います。
ジオスペーシャルフェアとは
聞き慣れない「ジオスペーシャル(地理空間)」という言葉。
ニコン・トリンブル社の「測量・調査・計測」部門、「建設・土木」部門、「インフラ・維持管理」部門を統合し、測量・建設会社の現場生産性の向上をトータルでサポートすることを目的として新たに編成された事業部の名称です。
そのジオスペーシャル事業部が全国で行うリアルイベントがジオスペーシャルフェアです。
※全国のイベント情報はこちらからご覧ください(ジオスペーシャルフェアオンライン)
展示された注目製品の数々
今回のフェアで展示されていた主な製品です。
- 現場完結型3Dレーザースキャナー「Trimble X7」
- 生産性への新しいアングル「Trimble R12i GNSS」
- GNSSを工事測量にも!最新のテクノロジー搭載が工事現場を変える「Spectra SP85」
- 安心・信頼のスタンダードはさらに進化する、スマートフォンで楽々便利「NST-505C」
- 画像計測ソリューション:橋梁点検支援「SightFusion」
- 鉄道設備スキャニングソリューション「Trimble GEDO Scan」
- グリーンレーザー搭載スキャニングトータルステーション「Trimble SX12」
- みえない物を『視える化』でここまでできる!「Trimble SiteVision」
今やICT活用工事での測量成果の3次元化や情報化施工は当たり前の状態となり、あわせて増加中のBIM/CIM活用工事への対応を迫られる企業にとっては興味深い製品ばかりではないでしょうか。
わたしたちにとっても、日頃ICT現場で使用している地上レーザースキャナーやGNSS機器の最新機種や最新機能を知り、直接実機に触れられる絶好の機会だった
ので、メーカーや販売店のご担当の方々に色々とお話を伺い、あっという間に時間が過ぎていました。
建設ICT.comの注目製品
今回のフェアで紹介された製品の中から、特にわたしたちが注目するのはこの2つ、
「Trimble X7」と「Trimble SiteVision」です。
現場完結型3Dレーザースキャナー「Trimble X7」
ICT活用工事の3次元測量と言えば、まずは「ドローン測量」が思い浮かびます。法規制や安全性などを考慮すると比較的気軽に測量できるのが地上レーザースキャナーです。
ただし、価格は極めて高額で、要求精度を満たす測量に関する専門知識や技術が必要なため、内製化を目指す建設会社さんにとっては、導入ハードルが高い測量機器ではないでしょうか。
そんな課題を解決するのが、この「Trimble X7」です。
- 徹底したコストダウンで普及しやすいリーズナブルな価格に
- 初心者でも安心の完全自動化作業
- タブレット上での点群自動合成、リアルタイム点群表示
- TS並みの軽量化
- 自動キャリブレーション機能で器械設置も簡単
- 自動レジストレーション機能で専用ターゲットの設置と回収が不要に
計測箇所を万遍なく点群化するためには、複数回にわたるレーザー照査が必要になります。高価で重たい器械を持ち歩きながら、足場の悪い現場で何度も器械設置をするのは、実は時間がかかり作業性が悪くなる場合もあります。
でも、この「Trimble X7」なら作業性がかなり上がりそうです。
みえない物を『視える化』でここまでできる!「Trimble SiteVision」
拡張現実(かくちょうげんじつ、英: Augmented Reality、オーグメンテッド・リアリティ、AR)とは、現実世界に仮想世界を重ね合わせて表示する技術を指す言葉。エクステンデッド・リアリティ(XR)と呼ばれる先端技術の一つである。
現実の風景の中にCGでつくられた3D映像やキャラクターなどのデジタルコンテンツやデータを重ねて表示することで現実世界を”拡張”する。
Wikipediaより引用
昨今話題のゲーム「ポ〇モンGo」はAR機能を利用したゲームシステムですので、すでにこの技術を体験されている方も多いのではないでしょうか。
「Trimble SiteVision」では、スマートフォンの画面を通して、現場の未来や地下に隠れた構造物、配管などをARモデルとして確認することができます。また、取り込んだ3次元モデルをAR表示し、合成写真を撮影するなど、景観設計に使用できるだけでなく、ポイントの記録、面積チェック、点間距離や勾配などの測定、簡単な観測や確認作業にもお薦めです。(引用:NikonTrimble “What’s New & Your Benefit 2021 Vol.19”)
2次元図面から3次元化されたデータを事務所のパソコンで確認するだけでも、以前に比べると格段に便利になりました。さらに、端末にAR表示をさせて現場でデータを確認できるというのは、まさに「視える化」度合いがアップされていますね。
メーカー視点の生産性向上
このフェアでは、商品説明を主体にしたメーカー担当によるセミナーも同時に開催されていました。
その中であった現場の生産性向上の話が印象的でしたので、ご紹介したいと思います。
- 工程日数の削減
- 人件費や燃料費などのコスト削減
これらはよく耳にするICT活用工事のメリットです。工程日数の削減は測量作業が対象になっていることが多いですが、例えば削減された日数で他の作業に従事した場合の収入を加味すると、より効果が感じられるという話がありました。
内製化を目指し、作業効率化を図るために最新機器の購入を検討されている現場担当の方は、ぜひこのトークで社内プレゼンをされてみてはいかがでしょうか。
まとめ
コロナ禍での久々の体験フェアでしたが、やはり実機を前にメーカー担当からの生の声を聞ける機会の必要性を再認識しました。
日々新たな技術が開発され、新製品が次から次へと市場に出てきます。リーズナブルになったとはいえ、ICT関連機器は高額商品であることには間違いありません。
せっかく購入した機器も使わなければ意味がありません。また、せっかくの高度技術も使えなければ意味がないのも同じことです。
的確な費用対効果の検証を行う上でも、ここは常に意識したいところです。
わたしたちは新たな技術に関する情報収集やまとめを行い、わかりやすいICT情報を発信していきますので、引き続き建設ICT.comをご活用ください。