第1回目の講座では、RTK-GNSSについて解説しました。
第2回目のテーマは「ローカライゼーション」です。
ローカライゼーションはICT施工を行う上で、施工精度を左右する重要な作業工程の一つです。
全くわからない方から、何となくぼんやりならわかるけど…という方まで、わかりやすく解説します。
はじめに
ローカライゼーションとは、ICT施工を行う上で、施工精度を左右する重要な作業工程になります。
今回はこのローカライゼーションについて、わかりやすく、簡単に解説したいと思います。
ローカライゼーションとは
結論からお伝えすると、ローカライゼーションというのは、ICT建機の位置情報を計測する際に、TS測位ではいらないけど、GNSS測位だと必要な作業です。
そして、GNSS測位でローカライゼーションをしないとその後の施工精度に関わります。
それがローカライゼーションです。もう少し詳しくご説明していきます。
言葉の意味
建設現場で使用するローカライゼーションという言葉の意味ですが、現地座標に変換することを指します。変換するということは、何かを何かに変えるという作業ということになりますが、それは人工衛星、GNSSの計測座標を現場の平面直角座標に変換させることを指します。
工事基準点の座標
通常、工事をする際には、必ず「工事基準点」を使用するかと思います。
その座標は「X座標」、「Y座標」、「標高(高さ)」の平面直角座標系で表されます。
次に平面直角座標系を説明していきます。
平面直角座標系とは
地球は赤道方向に張り出した扁平な楕円体です。中心は地球の重心、回転軸は地球の自転軸となります。
地球の表面を計測するにあたって、厳密にはこの準拠楕円体上の緯度経度で表されるのべきですが、曲面上の処理は大変な作業になります。
そこで、地球規模ではなく比較的測量範囲が狭い測量、日本国内の測量の際には、この位置計測の情報を平面上に投影して計算を行います。それでも十分正確に表すことができます。
それが平面直角座標です。
日本では19の区分に分かれた平面直角座標系が使われています。
例えば、東京都は9系(一部離島を除く)、大阪府は6系など決められています。工事基準点の座標はこの平面直角座標系で表されています。
工事基準点での測量
通常の工事だと、TSを使って工事基準点の座標を計測していると思います。
その場合、測量はもちろん地表で行いますし、測量根拠は地上での計測座標になるわけです。
GNSSでの測量
ところが、GNSS計測の場合、その測量根拠となる座標は、衛星からの信号により求められるわけですから、現地の工事基準点座標との間に差が生じます。
そこで、必要なのがこれからお伝えする ローカライゼーション「現地座標変換」です。
GNSSの詳しい測位方法については、第1回の講座「RTK-GNSSについて」の動画をご覧ください。
■【第1回】RTKーGNSSとは?|ICT施工ワンポイント講座
ローカライゼーションの図解について
こちらはわかりやすく説明するために、少し極端な縮尺で表現しています。
工事基準点の平面直角座標【青色】とGNSSで計測した測量成果の座標【黄色】との誤差を平均的に局地化することがローカライゼーション【赤色】です。
この後、このローカライゼーションによる変換テーブルを使ってICT建機による施工が行われることになります。
変換テーブルがあることで、GNSS計測値から自動的に現場座標の計測値を得られるようになるので、ICT建機を稼働させながらでも位置計測が可能になります。
ローカライゼーションのポイント
続いて、ローカライゼーション時のポイントです。
- 工事基準点は標高(高さ)も含めた3次元の座標
- 使用する工事基準点は最低でも4点以上
- 必ずICT施工の対象範囲を囲むように設置
このローカライゼーションは、工事完成時の精度に大きく関わる重要な作業になります。
工事基準点を設置する際には、この点を考慮してご対応ください。
実際の作業風景
先ほどお伝えした、高さを持った工事基準点を使用しています、4点以上の工事基準点で囲えるように計測しています。わたしたちは、5点以上で囲えるようにして作業を行っています。
ICT施工対象範囲をしっかり囲える位置で計測しています。
GNSS計測時の注意点
ローカライゼーションの作業はもちろんですが、ICT建機についている受信機もGNSS計測で使う受信機になります。
GNSSを使った位置情報計測時には、注意点があります。
まず、衛星からの電波を受信できるようにしないといけませんので、電波塔など強い電波を発するものからの電波障害に注意しましょう。現場によくある鉄製の敷板、矢板、防護柵などの金属製品は電波を反射してしまいます。
その反射した電波を受信してしまうマルチパスという現象が起こると、計測精度に影響しますので気を付けてください。
無線通信機、携帯電話なども計測時にはGNSS受信機に近づけないようにした方が良いでしょう。時間帯によっても衛星受信状況は変動します。こちらも念頭に置いて作業されてください。
NG例
NG例をご紹介します。
【左】の場所では、上空視界を確保できていないので、衛星受信精度が悪く計測ができませんでした。
【右】はICT建機の例です。
GNSS受信機を付けたICT建機でしたが、この現場は山間部の災害現場で、こちらも周りに伐採できていない木がたくさんあり、衛星受信精度が良くない現場でした。
ただ、施工タイミングを時間帯によって調整することで、こちらは無事ICT建機も稼働しながら進めることができた現場になります。
このように、ローカライゼーションやICT施工時では、GNSSの受信状況によって作業に大きく影響が出る場合があります。ICT施工範囲を取り囲むためには、工事基準点の場所や伐採範囲なども関わってきますので、今回の動画をご参考いただき、事前準備の際にお役立てください。
では、今回の講座は以上です。
今後もi-Constructionに取り組む建設会社の皆さまのお力になれるよう、ICT施工にまつわる情報をどんどん発信していきます。
この動画が面白い、ためになった、今後も見てみたいと思われた方はぜひ高評価、チャンネル登録をよろしくお願いいたします。
それではまた、次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました。