発注者情報-ICTサポート制度
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ICT施工をスムーズに進めるための支援「総合マネジメント」とは【前編】

ICTサポート総合マネジメント

はじめに

最近、当サイトへICT施工に関する相談のお問い合わせが日に日に増えています。

主なご相談内容は、ICT活用工事の内製化方法(ドローン測量、3次元設計データ作成、ICT建機の準備など)、建設ICT人材の採用や育成方法です。さらに、公共工事を受注される建設会社以外の業種の企業様からもお問い合わせが増えています。

そんな数あるお問い合わせに共通している目的が「ICT施工の成功」です。何をもって成功と言えるのか、一つは「ICT施工をスムーズに進めること」ではないでしょうか。

今回のコラムでは、「ICT施工をスムーズに進める」ために非常に有効な支援である「総合マネジメント」についてご紹介します。

総合マネジメントとは

総合マネジメントとは

「総合マネジメント」とは、国土交通省の各地方整備局が独自に制定するICT活用工事の推進と普及を目的とした支援制度が定めるサポート区分の中で、最も包括的な支援を提供する区分です。

国土交通省の各地方整備局では、円滑なICT施工を進めることを目的にICT活用工事支援制度を設けています。これらの制度は、各地方整備局によって制度の名称や内容は異なりますが、「ICTアドバイザー制度」「ICTサポート企業」などと呼ばれています。サポート区分は、「測量」「設計」「施工」「計画」「教育・研修」「総合マネジメント」などがあります。

この中で「総合マネジメント」は、施工計画から測量、設計、施工、管理、納品の一連の工程に関する助言、技術的指導を受けることができます。

現在、「総合マネジメント」の区分を設けているのは、関東地方整備局、中部地方整備局、中国地方整備局、四国地方整備局です。

<総合マネジメントの区分がある地方整備局のICT活用工事支援制度>

地方整備局名 支援制度名 総合マネジメントの区分定義
関東地方整備局 ICTアドバイザー制度 施工計画などの総合的な助言、技術的指導
中部地方整備局 ICTアドバイザー 定義明記なし
中国地方整備局 中国 ICT サポート企業・団体登録制度 ICTを活用する場合における施工計画書作成から測量、施工、管理、納品の一連に関する助言、技術的指導
四国地方整備局 ICT専任講師登録制度 「ICTの全面的な活用」の技術・費用・工期等の生産性向上についての施工計画などの工事全体的なマネジメントの支援を行うもの

※2020年12月現在

ICT施工の成功には、一連の工程の十分な理解と状況に応じた適切な判断が必要です。それにはICT施工の現場経験数や実績が大いに関係します。既に十分な経験と判断基準を持っている場合は問題ありませんが、ICT施工の経験や実績が少ない、または初めて受注した建設会社とっては、各工程で適切な助言・技術的指導を受けることができる「総合マネジメント」はとても心強いサービスではないでしょうか。

なぜ総合マネジメントが必要なのか?

なぜそのような支援が必要なのか、もう少し詳しく説明します。

まず、ICT施工に取り組むためには、従来施工とは異なる新たな知識や対応が必要になります。例えば、3次元設計データの取扱い、位置計測システムの選定、ローカライゼーション、ICT建機による施工などです。

内製しない工程に関しては、協力会社と連携して対応する必要があります。協力会社も、測量会社、設計会社、建機関連会社など、工程に応じて分野が異なることが大半で、複数の会社の担当者から情報を取りまとめて色々と判断しなければいけません。

ICT施工に限らず、工程管理を行う上で何かしらのトラブルがあった場合、その原因を突き止めて解消する必要があります。発注者との協議を踏まえて、必要な対応に関する最終的な判断を下すのは元請けの現場監督自身です。

なぜ総合マネジメントが必要なのか

次に、ICT施工の場合、工程の最初から最後まで一貫してデジタルデータを扱います。起工測量の時点でデータ精度が確保できていないと、その後の全ての工程で支障をきたします。そのため、施工途中でトラブルが発生した場合、目の前の事象だけではなく、工程をさかのぼり仮説を立てながら、デジタルデータをもとに一つひとつ検証していく必要があります。

ところが、各工程で作業を委託している協力会社は、担当分野のスペシャリストであり担当以外の対応が難しいことがほとんどです(3次元測量を行う測量会社が、ICT建機の施工サポートまでは対応できないなど)。そうすると、やはり全工程にわたる正確な状況把握と適切な判断は、現場監督自身に委ねられるのです。

適切な判断ができなかった場合、工期の遅れや手戻り発生によるコスト増につながってしまいます。最悪の場合、トラブルを解消できずICT施工から従来施工へ切り替えるといった状況も起こり得ます。

最後に、従来施工と同様にICT施工も一つとして同じ現場はありません。以前の現場と同じパターンで次の現場も対応できるケースは非常に稀でしょう。対応パターンは複数あり、常に最適解を追求し適用することで、より生産性を高め利益率の高い現場になっていくのです。このような判断を元請けの現場監督一人に委ねるのは、会社としてもリスクが高いのではないでしょうか。

こういった状況から、ICT活用工事の支援制度を活用することは、受発注者共にICT施工を推進する上で必要不可欠であると考えます。

総合マネジメントなどの支援制度設置の背景

総合マネジメントなどの支援制度設置の背景

では、この支援制度設置にはどのような背景があるのでしょうか。これまでわたしたちが行ってきたICT施工現場サポートの実績や受発注者とのお話からピックアップしてご説明します。

1) 発注者(地方整備局、自治体)からみた背景

  • 国土交通省の重要施策として、ICT活用工事の普及を加速しなければならない。
  • ICT施工にチャレンジできない建設会社のハードルを下げなければならない。
  • 建設会社がICT施工への取り組みを継続し、ノウハウを確実に蓄積していかなければならない。

2) 建設会社(経営側)からみた背景

  • ICT施工に取り組む重要性は理解しているが、対応できる人材が社内で育っていない。
  • ICT活用工事の受注見込みが立たず、ICT施工に取り組むための経営判断が難しい。
  • ICT施工にチャレンジしたが組織風土の醸成が難しく、持続継続することが難しい。

3) 建設会社(現場側)からみた背景

  • ICT施工の経験はあるが、成功したとは言えず次の現場に対応できる自信がない。
  • 従来施工の管理でも大変な上、新たに学習しながら業務を進めていくのは負担が大きい。
  • 自社にノウハウが蓄積されていないため、継続するには外部に依存するしかない。

総合マネジメントなどの支援制度設置のメリット

総合マネジメントなどの支援制度設置のメリット

上記の背景から見えてくる支援制度のメリットです。

1) 発注者(地方整備局、自治体)のメリット

  • 支援制度や施策強化によりチャレンジできる建設会社が増え、ICT活用工事の普及が加速される。
  • 建設会社や現場にあわせた助言・技術的指導ができることで、ICT施工にチャレンジしやすくなる。
  • 講習ではなく実現場を通した支援のため、建設会社にノウハウが蓄積されやすい。

2) 建設会社(経営側)のメリット

  • 受注した工事を通して、ICT施工に対応できる人材を育成することができる。
  • 施策内容によっては様々な経営資源の負担が軽減されるため、積極的な経営判断ができる。
  • 自社単独の対応ではないため、ICT施工に取り組む機運が高まり持続継続できる体制が整いやすい。

3) 建設会社(現場側)のメリット

  • ICT施工の取り組みを成功体験として実績に残せる可能性が高まる。
  • ICT施工に必要な情報精度が高まり、効率的に新たなことを学習できる。
  • ノウハウ蓄積精度も高まるため、内製化と外部委託のバランスがとりやすく利益化につなげやすい。

SGMの総合マネジメント

SGMの総合マネジメント

当社は、ICT施工に取り組む建設会社様のサポートを提供しており、中国地方整備局の中国ICTサポート企業、関東地方整備局のICTアドバイザーに登録されています。

中国ICTサポート企業登録のお知らせ
関東地方整備局ICTアドバイザー認定のお知らせ

ICT施工の成功は「最初が肝心=施工計画で決まる」と言っても過言ではありません。わたしたちは経営コンサルティングのノウハウがベースにあるため、ICT施工のカギを握る施工計画や工事全般の工程管理に関する助言・技術的指導を行う総合マネジメントの支援を得意としています。

中国エリア、関東エリア以外でも全国対応可能です。
サポート費用をお見積りいたしますので、ご希望の際はお気軽にお問い合わせください。

まとめ

ICT施工普及の流れが加速していく中、早くから積極的にチャレンジされてきた会社と、そうではない会社の差は大きくなる一方です。

ICT技術を活用したICT施工とは、本来とても便利なものであり、安全性や生産性が向上し現場の利益化を実現するための有効なツールです。ただし、ノウハウ習得までの時間やコストを考えると、取り組むタイミングの判断が難しくなることをわたしたちも理解しています。

わたしたちが、これまで蓄積してきたノウハウに加え、業界の流れを汲んだ総合マネジメントによるサポートを行うことで、支援制度の促進とICT施工の普及加速に繋がればと思います。

次回のコラム「ICT施工をスムーズに進めるための支援「総合マネジメント」とは【後編】」では、わたしたちが総合マネジメントのサポートを行うにあたり重要視しているポイントをお伝えします。

後編はこちら →

 


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