【2022年度航空法改正】どうなるドローンの国家資格ー建設現場でドローン免許は必要かー

※2021年11月時点の情報です。

こんにちは。建設ICT.comの吉田です。

2021年も残すところ数ヶ月になりましたね。

今年は空の産業革命と言われる無人航空機(ドローン)にとって重要な発表がありました。

ドローンの機体の安全性と操縦者の技能を国が証明する制度を創設するという航空法改正案国土交通省報道発表資料よりが3月に閣議決定されたという発表です。

いよいよドローン操縦には国家資格が必要になるのか!と関係者にとっては非常に気になる発表だったかと思います。

次期制度は2022年12月頃以降とされており、現在の発表情報からはまだわからないことがたくさんあります。

今回のコラムでは、来年度以降の航空法改正が建設現場でのドローン利用にどんな影響を与えるのか、皆さんの会社で運用するために国家資格は必要なのかを解説します。

新たな制度創設による無人航空機レべル4の実現

国内の無人航空機の飛行形態は、飛行地帯が有人か無人か、飛行方法が目視内か目視外かなどの項目から次の4つのレベルに区分されています。目視とはドローン本体を操縦士が肉眼で見えている状態のことを言います。

ドローンの飛行形態レベル

今回閣議決定された改正案は、安全上の観点からこれまでは飛行を認められていなかった「レベル4」飛行の実現に向けた新しい制度を創設するというものです。

レベル4とは、有人地帯においてドローンを補助者無しの目視外で飛行させる状態を言います。例えば、荷物の輸送には車や船、有人飛行機や列車など色々な乗り物が利用されていますが、人や建物の上空を飛行するドローンが輸送手段に使われるということです。

飛行リスク別3つのカテゴリー

このレベル4実現に向けて、さらに飛行リスクの程度別に3つのカテゴリーを設定して、各カテゴリーに応じた規制が適用されます。

カテゴリーはリスクの高いものからⅢ、Ⅱ、Ⅰと設定され、各カテゴリーの様態および飛行にあたって要件・条件が与えられます。

最もリスクの高いカテゴリーⅢでは機体認証と操縦ライセンス、許可・承認が必要とされます。また、カテゴリーⅡにおいても、機体認証と操縦ライセンスがあることで、許可・承認の要不要が変わります。

飛行リスク程度別カテゴリー

ドローン免許(操縦ライセンス)の内容

では、皆さんが最も気になっている操縦ライセンスについて説明します。なお、現時点での想定項目も含まれており、今後の進め方は検討中であることを前提にご覧ください。


1.国家資格(国家ライセンス)だから試験がある

学科試験、実地試験があります。あわせて身体状態(視力・色覚・聴力・運動能力等)を確認のうえ、操縦ライセンスが付与されます。

2.ライセンスは2種類

カテゴリーⅢまでの飛行に対応する「一等ライセンス」と、カテゴリーⅡまでに対応する「二等ライセンス」の2つに区分されます。
あわせて、制度創設当初は次のような限定が付きます。

【無人航空機(ドローン)の種類】
固定翼・回転翼(シングルローター)・回転翼(マルチローター)等
【飛行の方法】
目視内飛行・日中飛行・物件を投下しない飛行

3.必要な操縦技能

手動操縦の知識・能力に加えて、自動操縦システムに関する知識・能力や緊急時の対応能力等が求められます。

4.ライセンスの有効期間と更新

有効期間は3年です。更新時には、身体状態の確認と最新の知識・能力修得のための講習修了が要件とされます。

5.取得できる年齢

16歳以上です。
16歳未満でも現行と同様に許可・承認を受けることで、カテゴリーⅡの飛行は可能です。

6.試験を実施する機関

国に登録された講習機関における講習の受講により、同講習機関の修了試験に合格し修了証の交付を受けた場合には、試験が免除され操縦ライセンスの申請と交付を受けることができます。

8.更新時の講習を実施する機関

操縦ライセンス更新の際には、身体状態の確認及び登録更新講習機関が実施する講習を修了する必要があります。


自動車の運転免許取得の仕組みによく似ていますね。
ここまでの操縦ライセンスの取得と更新方法を整理しましょう。

登録講習機関の講習を受けずに操縦ライセンスを取得する方法

指定試験機関に受験申請し、合格判定を受ければ、国に操縦ライセンスを申請して交付を受けることができます。

指定試験機関が実施する試験を受験する場合

登録講習機関の講習を受ける方法

登録講習機関の講習を受講し、修了試験に合格後、修了証の交付を受けます。その修了証をもって国に操縦ライセンスを申請して交付を受けることができます。

登録講習機関による講習を受ける場合

操縦ライセンスを更新する場合

登録更新講習機関の更新講習を受講し、修了証の交付を受けます。その修了証をもって国に操縦ライセンスの更新を申請します。

登録更新講習機関による講習

ドローンの機体認証制度

安全飛行のためには、操縦技能だけではなく機体の安全性を担保することも必要です。そのため、ドローンの機体認証制度も創設されます。

機体認証にも操縦ライセンス同様に、カテゴリーⅢまでの飛行を行うことを目的とする機体には「第一種認証」、カテゴリーⅡの飛行を行うことを目的とする機体には「第二種認証」という区分が設けられます。また、メーカーなど設計・製造者からの申請により国が認証を行う型式認証という区分も設けられます。

あわせて、機体認証および型式認証には有効期間が定められます。

機体認証と型式認証

建設現場にドローン免許は必要か

ここまでの情報を踏まえて、結局のところ建設現場での使用にはドローン免許が必要かどうかを考えてみます。

第三者の上空で飛行させる機会がほとんどない建設現場での飛行リスクは「カテゴリーⅠ」もしくは「カテゴリーⅡ」に分類されます。そうなると、一等ライセンス・第一種機体認証までは必要ありません。

ところが、建設現場では人・物件との距離が30m未満の飛行を行うケースが多いことから、飛行リスク「カテゴリーⅡ」には該当するため、許可・承認が必要になります。

新制度では、二等ライセンス・第二種機体認証以上を受けていると許可・承認が不要になりますが、現行同様、許可・承認の申請を出せば飛行は可能ですので、ドローン免許が無くても問題はないでしょう。

ただし、現場によっては民家や生活道路が隣接している、迂回路が設置されているなどの理由から、第三者の上空を飛行させる可能性もあります。ドローン飛行エリアに第三者が立ち入ればカテゴリーⅢに、立ち入らなければカテゴリーⅡになるわけですから、飛行中に立ち入り管理措置を講じられない場合には、飛行リスクは「カテゴリーⅢ」に該当します。

そうなると、一等ライセンス・第一種機体認証と許可・承認が必要ということになります。

カテゴリーⅢの場合でも、運航管理体制が確立されている事業者については、包括許可などの柔軟な運用が予定されていますので、やはり事業としてドローンを使用する際には、ドローン免許を取得している操縦士を在籍させ、適切な運航管理体制を設けた方が良いのではないでしょうか。

飛行形態ごとのカテゴリー分類と必要な要件条件

まとめ

日頃どのような現場でドローンを運用しているのか、それらの現場の飛行リスクがどのカテゴリーに分類されるかで、取得するべき資格がわかってくると思います。

新制度創設にあわせた準備にあたり、国家試験が免除となる講習にかかる費用なども事業者にとっては重要な考慮点になります。

いずれにしても、国家資格を取得するための試験は必須となると、現在民間のドローン資格を持たずに運用している場合には、所属している操縦士が国家試験に合格できるだけの知識と技能を身に着けているかを見極める必要があります。

未だ検討中の項目もあり、新制度の詳細はまだわかっていません。

しかし、ドローン運用に関する知識と技能レベルは高いに越したことはありませんから、今のうちから準備を始められることをお勧めします。

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