2022年5月25日から3日間にわたり、第4回建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)が幕張メッセで開催されました。
建設・測量業界最先端の製品・技術・サービスが一堂に集結し1,800ものブースが展示されるとの事で、わたしたち建設ICT.comは最終日に参加してきました。
建設ICT.comが注目しているのは、令和4年度ICT施工の出来形管理要領に新たに追加された小規模土工に関する最新の製品・技術・サービスについてです。
特に、全国の建設会社様のICT化をサポートするわたしたちにとっては、精度はもちろんコストなど、どこまで実用化できるレベルなのかが気になるところです。
では、さっそく気になる内容をレポートします。
目次
令和4年度出来形管理要領に追加されたICT小規模土工
国土交通省のICT活用工事関連の要領は、毎年度新たな策定や既存要領の改定が行われています。
令和4年度新たに作成されたものの中で目玉と言っても過言ではないのが、1,000㎥未満の小規模現場に対応したICT土工の要領です。
「ICTは大規模工事じゃないとメリットが無い」と取り組みに躊躇していた中小建設企業にとって、この要領策定は朗報ではないでしょうか。
小規模土工を実現させるための新たなICT技術には、施工で使用する小型MGバックホウと出来形管理で使用するモバイル端末があります。
今回の展示会では、主にこの2つの技術導入ができるサービス提供者のブースを訪問し、わたしたちが注目するサービスをピックアップしてみました。
詳しいサービス内容や金額については、各サービス提供者へお問合せください。
手持ちのバックホウがマシンガインダンス(MG)機能搭載に
小規模現場で使用する建設機械は小型になるため、今回の要領でICT活用工事の経費として算定できるようになっているのが、3次元データを搭載して施工ができる小型バックホウです。
すでに所有もしくは新たに導入した小型バックホウに、必要なキットを後付けすることでICT施工可能な3DMG(マシンガイダンス)機能が搭載できます。
スマートコンストラクション「レトロフィット」(株式会社EARTHBRAIN)
GNSSアンテナを取り付け衛星測位システムを使ってMG機能を使用します。
杭ナビショベル(株式会社トプコン)
360°プリズムを取り付け自動追尾型TS等システムを使ってMG機能を使用します。
スマホでできるICT土工の出来形管理
現行の出来形管理要領では、スマホやタブレットのLiDAR機能や撮影写真を使って点群化した計測データを出来形管理に使用できるようになっています。
誰もが簡単に使えるスマホやタブレットを使って3次元計測ができるため、ドローンや地上型レーザースキャナーの導入に比べると出来形計測のハードルが下がった印象を受けます。
OPTiM Geo Scan(株式会社オプティム)
LiDARセンサー搭載のiPhoneやiPadとGNSSレシーバー取得の位置情報を組み合わせて3次元測量を行います。
スマートコンストラクション「Quick3D」(株式会社EARTHBRAIN)
iPhoneやiPadを使って撮影した現場の写真をSfM処理して点群化します。LiDAR機能を使って点群化することも可能です。
その他の気になる新技術
他にはインフラDXの点検、管理業務の効率化が実現できるものとしてよく目にする「遠隔臨場」サービスや国土交通省が新たに協議会を立ち上げ推進していく建設機械施工の自動化・自律化技術のうち「遠隔操作」についての展示も多く見受けました。
特に遠隔操作のデモンストレーションブースには、常に人だかりができていて皆さんのを興味の高さを感じました。
遠隔臨場システムは、どのサービスも技術的には大きな違いはないようですが、データ制限や使用端末のレンタル金額など、導入時にはいくつかのサービスを比較して検討した方がよさそうです。
自動化施工は映画の世界さながら未来の建設現場を見ているようでワクワクしますが、実際の公共工事の建設現場で実用化されるまでの道のりはまだこれからといったところでしょうか。
まとめ
今回の展示会で、わたしたちが確認したかったことは、小規模土工の可能性と導入への道のりです。
これまで直轄工事においてICT施工が実施された1,000㎥未満の現場はわずか6%です。今後、土量の少ない地方自治体発注工事への導入も促進されるはずです。
中小建設企業のICT活用拡大のために、ハードルを下げ裾野を広げたいという国の意向を感じざるを得ません。
引き続き、建設ICT.comでは全国の建設会社様のICT化を徹底サポートいたします。
小規模土工の導入についてもご不明点な点がございましたらお気軽にお問合せください。