3次元測量で起こりやすいトラブル事例【ICT施工実務シリーズ③】

はじめに

こんにちは。i-Constructionスペシャリストの測量士、川口です。

ICT施工で行う測量には、ドローンや地上レーザースキャナーを使った3次元測量と呼ばれるものがあります。ICT施工において「3次元起工測量」、「3次元出来形測量」は欠かすことができない工程です。多くの建設会社様が3次元測量を測量会社に外注するケースが多いと思います。

従来施工の測量作業では、管理断面の計測、平均断面法での数量算出、現場での丁張掛けを行います。

それがICT施工になると、3次元起工測量で計測した「点群データ」から、管理断面の計測、数量算出を正確に行えるようになります。

また、点群データを活用することで、3次元設計データ作成時に正確な計画高を取れるようになり、現場での丁張レス施工(丁張作業の削減)が実現できるようになります。

3次元起工測量で計測した点群データがその後の作業の基準になるため、3次元測量の精度はICT施工の精度に直結します。ICT施工を高精度に竣工させるためには、最初の工程にある3次元起工測量で精度の高い計測データ(点群データ)を取得することが、最も重要なポイントであると言ってもよいでしょう。

3次元測量を内製化し、自社で実施する場合はもちろんですが、測量会社に委託する場合でも、現場監督がICT施工の基準と対応方法に関する正しい知識を持っていることが大切です。

  • 国土交通省の出来形管理要領の基準を満たしているか
  • 国土地理院の公共測量マニュアルに沿った作業ができているか

など、現場監督にはICT施工のルールチェックを主体的に行い、確実な施工管理を実施していくことが求められます。

以下より、3次元測量で起こりやすいトラブル事例を、特に現場監督の視点で気がつきにくい点や把握しづらい点を中心にご紹介します。それぞれのトラブルについて解説も加えていますのでご参考ください。

3次元測量のトラブル事例

case1 ドローン測量後に、計測場所がドローン飛行禁止区域であることが発覚した。測量会社は、航空局を始めその他行政機関や関係各所のいずれにも許可を取らずに飛行させていた。
– 解説 –
飛行禁止区域を無許可で飛行させた操縦者が、航空法違反で逮捕された事例があります。航空法等関係法令の内容についても最新情報を把握し、適切な管理体制を取ることが求められます。
case2ドローン測量中に機体が制御不能となり、第三者物件(電線)に衝突し、山の中に機体が墜落するという事故が発生した。事故後、その操縦者が航空局の定める技能要件を満たしていないことが判明した。
– 解説 –
航空法に適用する条件でドローンを飛行させる場合には、国土交通省航空局の許可・承認が必要です。その際、ドローン操縦者の技能が基準に適合していることが求められます。
case3ドローンによる3次元測量後、納品された計測データが国土交通省の出来形管理要領の基準を満たしていないことが判明した。原因を確認したところ、測量中にドローン操縦士が独断で飛行高度を変更していた。
– 解説 –
生成された点群データが、出来形管理要領の基準を満たしていない場合、再測量が必要です。測量計画時の事前チェックと、測量後の成果物に対する2重チェックを行うなど、測量成果を速やかに確認しておくことが重要です。
case4地上レーザースキャナー測量後に、計測データを確認したところ、水たまりや地表の凹凸など、点群が取得できていない地点があることがわかり、正確な計測データとして活用することができなかった。
– 解説 –
現場状況によりますが、測量前には水たまりなどレーザーがあたらない箇所をできるだけ無くし、正確な点群データが取得できる状態にしておくことが望ましいです。それが難しい場合は、発注元と協議を行い、TS計測での補測やソフトウェア上でのデータ補間作業等を検討する必要があります。

まとめ

ICT施工では、3次元起工測量の計測データ誤差がその後の作業に大きく影響してきます。

あらゆる工程でデジタルデータを活用するICT施工では、最初からしっかりと計測精度を確保しておかないと、途中で誤差が生じICT施工を中断することになりかねません。

3次元測量を測量会社に外注した場合であっても、トラブルが発生した際には、現場監督がトラブルの原因をつきとめて適切な対処を行っていく必要があります。

3次元測量を委託する信頼できる協力会社と日頃から関係を持っておくこと、さらには業界にまつわる最新情報を収集できるようアンテナを張っておくことも重要です。

そして、ICT施工に限らず土木現場では、どれだけ留意事項を把握していたとしても必ずと言っていいほどイレギュラーな事象が発生しますので、何においても念入りに準備をし過ぎることはないと考えます。

今回は少々重たい話題になりましたが、3次元測量時のトラブル防止のために具体的な事例を交えた留意点をお伝えしました。

ICT施工現場の安全対策や施工管理にお役立ていただければと思います。

ICT施工実務シリーズ

【ICT施工実務シリーズ①】3次元設計データと3次元施工データの違い
【ICT施工実務シリーズ②】3次元設計ソフトウェア(3DCAD)の特徴と選定のポイント

【ICT施工実務シリーズ④】ICT建機の測位システムの選定ポイント

【ICT施工実務シリーズ⑤】ICT建機選定のポイント

【ICT施工実務シリーズ⑥】2020年度国土交通省のICT要領改定ポイント

 


土木専門のUAV操縦者育成の出張スクールを開校。法人様単位での受講受付中です。

さらに深堀りして学びたい方向けの
オンラインセミナー開講!
オンラインセミナー/i-Construction大学

現役のi-Constructionスペシャリストが、ICT施工の詳細を2時間の講義でしっかり深堀り解説。 講義は毎回異なるテーマで開催。オンライン(Zoomなど)で気軽に参加できます。

CPDS(継続学習制度、2ユニット)の代行申請にも対応。学習履歴と進捗を確認しながら着実にステップアップしていくことができます。

次回開催 【オンラインセミナー】
i-Construction大学

[ICT土工現場の状況にあわせた3次元計測技術選定の基礎理解]
受付中 2021年10月27日 (水) 14:00〜16:00 (あと7日で締切)

令和3年度より大幅な再編が行われた「ICTの全面的活用」を実施する上での技術基準類「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」。その中から、ICT土工の現場で選択されることの多い「空中写真測量(無人航空機)」と「地上型レーザースキャナー」を基に3次元計測技術を用いた出来形管理の基礎を解説します。事例を交えた解説のため、現場状況にあわせた計測技術選定の基準や留意点を理解することができます。

カリキュラム:
14:00〜 3次元計測を用いた出来形管理要領(案)の構成
14:30〜 UAV空中写真測量と地上型レーザースキャナーによる出来形管理の特徴
15:00〜 現場状況に応じた計測技術選択の留意点
16:00 閉講
吉田 なぎさ
講師: 吉田 なぎさ
JUIDA無人航空機操縦技能者 / i-ConstructionスペシャリストRM協会認定UAVアドバンスドマイスター / 車両系建設機械(整地等)運転技能者
待ったなし!でも、まだ間に合う! 建設ICT.comのサポートなら安心してICT施工に取り組めます。

i-Construction施工のことなら
お気軽にご相談ください。

豊富な知見とノウハウで建設企業様の
ICT施工を強力にサポートします。