建設ICT.comでは、これまで様々な研修・セミナーの講師依頼を受けてきました。建設企業様はもちろんのこと、最近では建設業協会様や関連団体様からの依頼が増えています。
中国ICTサポート企業として活動している当社に、中国地方の公益財団法人鳥取県建設技術センター様から講師依頼があり、2022年6月に同センター様主催のi-Construction研修を実施しました。
今回のコラムでは、主催者様からのご要望に合わせてカスタマイズしたセミナーの詳細ついてレポートします。
実現場を題材にした実務的な研修
ICT施工の研修や勉強会に参加経験のある方は多いと思いますが、そこで習得した知識や技術を現場の作業レベルにまで落とし込みができているケースは少ないのではないでしょうか。
今回の研修にあたり、センター様はその点を懸念されていました。
「できるだけ実現場を題材にした研修が良い」とのご要望をお聞きし、センター様管理の建設発生土の現場をICT活用工事の「モデル現場」に想定。そこを題材に研修を行うことになりました。
のちにセンター様の方で検証や研修を行えるように、モデル現場で実際に取得した測量データや3次元設計データをテキストに使用しました。
まずは現場の3次元測量から
研修に先立ち、研修予定日から逆算して概ね2か月ほど前から現場作業を開始しました。
3次元測量は、無人航空機(UAV)による空中写真測量を実施。
ICT建設機械による施工を想定してローカライゼーションも行いました。
今後、この現場でGNSSによる位置計測を行う際には、このローカライゼーションデータを活用することができます。
3次元設計データ作成の工程を重点的に
3次元測量で取得した現況点群データをもとに、3次元設計データの作成作業に入ります。
今回の3次元設計データは、できるだけわかりやすく作図操作をシンプルにするため、複雑な箇所は省くことにしました。
センター様と設計ラインの取り方など何度も打合せをして、研修テキストに使用できる3次元設計データが完成しました。
また、今回の研修は受講者一人一人に3次元設計ソフトウェアが導入されたPCが貸し出されるとのことでしたので、重点的に3次元設計データ作成技能を習得できるようなカリキュラム構成にしました。
使用ソフトウェア
福井コンピュータ
EX-TREND武蔵、建設CAD、Trend-Point
3日間の研修工程
とはいえ、ICT活用工事の初心者向けの研修でしたので、基本工程を理解することから研修はスタートしました。
- 【1日目】基本知識の習得
- i-Construction概要/ICT施工工程/3次元測量(UAVなど)/点群処理
- 【2日目】3次元設計データ作成技能の習得
- 点群編集/線形計算/横断図照査/現況点群取り込み
- 【3日目】3次元設計データ作成技能の習得
- 追加横断作図/土量計算/3次元データチェックシート
会場や貸与備品の都合で受講者は10数名に限定されていましたので、講師2名体制で1日7時間の3日間、まさに手取り足取りの実技研修でした。
受講者の声
後日センター様が実施したアンケートでは、一部難しかったというご意見があったものの、
- 実際にPCを操作しながらの研修で解り易かった。
- 実際にソフトを使用する事で理解度が非常に高いものだった。
- 講師の説明も丁寧でわかりやすかった。
という内容で、研修を主催したセンター様にもお喜びいただくことができました。
まとめ
今回は3次元設計データ作成工程に重きを置いた研修でしたが、実現場で活用できる技術を習得するまでにはまだまだ時間が必要です。
しかし、3次元測量など基本的なICT活用工事の工程と照査作業のポイントを理解するだけでも作業工程の効率的化が図れます。
より実践に近い形の実現場データを使用したことで、皆さんも臨場感を得られたのではないかと思います。
このような研修が、みなさんの建設ICT化促進の一助になれれば幸いです。
当社では、一言でi-Construction研修と言っても、主催者様のテーマにあわせて内容をカスタマイズすることが可能です。今回のように実現場のデータを基にしたオリジナルのテキストを作成することもできますので、ご希望の際にはお気軽にお問合せください。