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国土交通大臣の新春インタビューからわかる今後の建設業界【2023年】

2024年度までにやってくる建設業界で注目のトピックスをみなさんご存知でしょうか。

それは、2023年度に実施される「小規模を除く全ての公共工事でBIM/CIM原則適用」と2024年度の「罰則付き時間外労働規制の適用」です。

本コラムでは、i-Constructionの取り組み開始から7年目を迎えた今、これまで国から発表された施策や取り組みを改めて整理してみましたのでご参考ください。

斉藤国土交通大臣の新春インタビューから整理

年始に行われた業界メディアからの新春インタビューに応じた斉藤鉄夫国土交通大臣。

インタビューでは、今回のコラムで取りあげている気になる2つのトピックスについてもコメントしています。

ここからは、2024年度までにやってくる注目すべき建設業界のトピックスと、関連する国の施策や取り組みについて、この斉藤国交相の新春インタビューをもとに整理したいと思います。

国土強靭化推進の流れ(今はどこにあたるのか?)

政府はこの度2023年度の当初予算案に、一般会計分の公共事業費として6兆600億円を確保。

これは、前年度比26億円の増額(0.04%増)で、このうち防災、減災、国土強靭化の関連予算には761億増となる3兆9497億円が盛り込まれています。

度重なる大災害により、様々な被害がもたらされてきたわが国において、「強さとしなやかさ」を備えた安全・安心な国土・地域・経済社会を構築することを目指すのが「国土強靭化」です。

これは下記のような枠組みにより進められています。

国土強靭化推進の枠組
※出典 内閣官房国土強靭化推進 国土強靭化パンフレット「国土強靭化進めよう!」(令和3年3月版)より掲載

2023年度は「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の3年目にあたります。

5年間で取り組む対策は123対策、それらに必要な事業規模はおおむね15兆円程度を目途に進められ、今年度の本対策関連の予算が、先にお伝えした3兆9497億円になります。

この国土強靭化について、斉藤国交相は新春インタビューで次のようにコメントしています。

  • 5か年加速化対策の3年目(2023年)も含めて必要・十分な予算を確保
  • 5か年加速化対策後も継続的・安定的に国土強靱化の取り組みを進めていくことが重要
  • 政府では国土強靱化基本計画の改定に向けた検討を開始
  • 加速化するインフラの老朽化への対応を含むインフラマネジメントの推進に全力で取り組む
  • 建設業者が安心して設備投資や人材育成を行うことができる観点からも、中長期的な見通しの下、安定的・持続的な公共投資を推進し、戦略的・計画的な社会資本整備を進めたい。

5か年加速化対策後も取り組みを進める重要性と計画改定に向けた検討を開始するというコメントから、同様もしくはそれ以上の対策が今後出てくる可能性を感じます。

また、国土強靭化や社会資本整備を進める上で大きな役割を担う建設業者に対して、安心して設備投資や人材育成を行うことができるように「安定的・持続的な公共投資を推進」するというコメントにも注目したいところです。

インフラ分野のDXのアクションプランとは

昨今目にする機会が増えた「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉。国土交通省では独自の取り組みとして「インフラ分野のDX」と銘打ちアクションプランを発表しています。

これまでのi-Constructionの取り組みを中核に取り組まれているのがインフラ分野のDXで、これらの実現に向けた2025年度までの具体的な工程が「インフラ分野のDXのアクションプラン」です。

このアクションプランの取り組み(施策)は、大きく次の3つの柱で構成されます。

  • 行政手続きのデジタル化
  • 情報の高度化とその活用
  • 現場作業の遠隔化・自動化・自律化
インフラ分野のDX
※出典 国土交通省 「インフラ分野のDX」(2022年3月)より掲載

斉藤国交相は新春インタビューで、この「インフラ分野のDXのアクションプラン」のネクスト・ステージとして、2023年をDXによる変革を一層加速させる「躍進の年と位置付け、建設業界とも連携して取り組みを進めていきたいとコメントしています。

BIM/CIM原則適用

インフラ分野のDXの具体的な取り組みについても、斉藤国交相は次のようにコメントしています。

  • ICT施工の中小建設企業への活用拡大に向けた基準等の整備
  • アドバイザー制度による支援、研修等の実施
  • 直轄土木工事・設計で3次元モデルを活用したBIM/CIMを原則として適用(2023年4月から)

BIM/CIM原則適用については当初発表より2年前倒しされ、2023年度までに小規模現場を除く全ての公共工事でBIM/CIM原則適用と言われてきました。大臣のこのようなコメントを2023年初めに見ると、それがより現実味を帯びてきますね。

罰則付き時間外労働規制の適用

改正労働基準法の施行により、土木・建設業などの一部事業や業務に与えられていた猶予期間が2024年3月末で終了することから、建設業においても罰則付きの時間外労働規制が適用されます。

このトピックスに関しても、斉藤国交相は2024年度からの罰則付き時間外労働規制の適用を見据え、「実効性ある働き方改革の推進が急務」とコメントしています。

あわせて、「若手の入職を促進し、将来の担い手の確保・育成を図ることが重要」と付け加えられていることからも、やはりこれまでのi-Constructionやインフラ分野のDXといった施策や取り組みの推進が待ったなしであることが伝わってきます。

まとめ

まだまだ先の話だと思っていたら2024年度はもう来年の話です。皆さんの会社の建設ICT化はどこまで進んでいるでしょうか。

まだ何も着手できてないとしたら、早急に取り組まれることをお勧めします。理由は、本コラムを始めこれまで当サイトでお伝えしてきた通りです。

わからないことはわかるところに尋ね、状況を把握し内容を理解することが大切です。最も避けたいのは「わからないからやらない」という選択だとわたしたちは考えます。

取り組み方法がわからない、または、取り組みがうまく進んでいない企業様は、お気軽にわたしたちまでお問合せください。

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