近年、建設業界でも大活躍となっているドローン。
今回はわたしたちが「バンテリンドーム ナゴヤ(ナゴヤドーム)」で行ったドローン空撮の様子をお伝えします。さらに、建設業でドローンを利用する際に覚えておきたいルールについても簡単におさらいします。
ぜひ、気軽に読んでいってください。
バンテリンドーム ナゴヤでのドローン空撮
2024年10月29日、バンテリンドーム ナゴヤにてドローン空撮を行いました。バンテリンドームからの許可のもと、2年連続で貴重な機会をいただきました。
実はわたしたちはこれまでにも何度か「ICT土木に関わる業務以外」の目的でドローン空撮を行ってきました。
過去の事例に関する記事もございますので、ぜひご覧ください。
日本初公道レースのコース安全検証にICT土木技術を活用(3次元測量編)
【空撮】HondaNSXデビュー30周年記念走行会in鈴鹿サーキット -ドローン撮影-
今回の舞台であるバンテリンドームは四方と上部が囲われている場所のため「屋内」での飛行でしたが、「飛行エリアはスタンドを除く高度30mまでのアリーナ内」などのバンテリンドームからの制約がありました。それらを守ること、また周囲の安全確保の必要性から万全の準備を行いました。
当日は、操縦士:川口(DX・i-Constructionスペシャリスト)、副操縦士:宮川(DX・i-Constructionスペシャリスト)、監視員:見習いコヤマくんの3名体制で臨みました。
宮川が高度30mを超えないように監視、周囲の安全を見習いコヤマくんが監視するという役割分担により、事故なく安全に空撮を終えることができました。
ドローン空撮動画
操縦士コメント
川口
ありがたいことですが昨年に続き、バンテリンドームでドローン空撮の貴重な機会をいただきました。事前にドーム施設内でのドローン飛行ルールをはじめ、施設の方々と確認やりとりをさせていただき、当日のフライトに臨みました。運航体制として宮川、コヤマくんと連携しながら、安全にフライトを完了することができました。
宮川
ドローンの飛行にあたっては30mという高さ、周囲の建物への接近の注意とそしてソフトボールの風景をどのように撮影するかといった多くの配慮点がありました。普通にはなかなかできない事ですしまた一つ良い経験が出来たかと思います。この映像を皆さんに見て頂く事で臨場感・その場の雰囲気がわかると良いかなと思います。
小山
入念な事前の安全確認・限られた時間の中で残り分数を気にかけながらのフライト準備〜撤収と、良い意味で現場同様に緊張感のあるドローン空撮を行うことができました。飛行をご許可いただきましたバンテリンドーム管理者の方々に改めて感謝申し上げます。
ドローンの飛行場所・飛行方法に関する規制
建設業界でも広く利用されるようになったドローン。
ここからはドローンに関する規制について、建設業関係者が特にチェックしておきたいものに絞っておさらいしていきましょう。
ドローンを飛行させる際、以下に該当する場合には航空局に許可を得る必要があります。
飛行場所の規制
- 人口集中地区
- 空港周辺
- 高度150m以上 など
航空機の安全確保のため、空港周辺・高度150m以上の飛行は制限されています。さらに、住宅地やビジネス街など人が多く集まる場所では無許可でドローンを飛ばすことが原則できないほか、警察・消防などが活動する緊急用務空域での飛行は基本的に禁止されています。
飛行方法の規制
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 30m接近飛行 など
ドローンによる事故は重大な損害や人命にかかわる危険性があるため飛行方法にも規制があります。建設業での利用時は上記規制にかかわってくることも多いため、必要な申請は漏れなく行うようにしましょう。
またここで紹介したのは航空法による規制の一部ですが、ドローン飛行に関する規制は小型無人機等飛行禁止法や各自治体の条例などさまざまなものにより規定されています。ルールを守って安全な飛行を行うために、ご自身でもいま一度確認してみることをおすすめします。
さらに近年では資材運搬を目的とする利用などドローンの活用の幅も広がってきています。ドローンを使うことで人的コスト削減や高精度のデータ取得などが可能となりとても便利ですが、1つのミスで大きな事故につながるリスクもあります。
操縦に慣れていても気を抜かず、準備からひとつひとつ丁寧に行いましょう。
ドローンの国家資格 ―操縦ライセンス制度―
続いて、ドローンのライセンス制度についても整理しておきましょう。
ドローン関連の資格にはもともと民間資格しかありませんでしたが、2022年から国家資格である「無人航空機の操縦者技能証明制度(操縦ライセンス制度)」がスタートしています。
技能証明には2つの区分(一等・二等)があり、それぞれに飛行可能な場所などに違いがあります。
一等資格 | 二等資格 | |
---|---|---|
レベル1 (目視内での手動操縦飛行) |
○ | ○ |
レベル2 (目視内での自動/自立飛行) |
||
レベル3 (無人地帯における目視外飛行) |
||
レベル3.5 (レベル3の立入管理措置を撤廃) |
||
レベル4 (有人地帯での目視外飛行) |
○ | × |
つまり、レベル4にあたる「有人地帯での目視外飛行」を行う場合には一等資格の取得が必要となります。
なお、一等・二等ともに実際にドローンを飛行させる際には、対象となる機体について国土交通省の機体認証を受ける必要があります。
もう一つ「カテゴリー」に関する規制もあります。
資格取得により、今までは申請をしないと飛行できなかった場所ついても、一部は申請なしでの飛行が可能となる仕組みの整備が進んでいます。
ただしすべての申請が不要となるわけではないので、ご自身の行う飛行にあわせて必要な申請を確認し、対応するようにしましょう。
なお前提として、現在はドローンの飛行自体は資格を持っていなくても行うことができます。
しかし、資格の取得により飛行できる場所の規制が緩和されたり、申請の省略や簡略化できたりする仕組みがどんどん整えられています。
今後もこのような恩恵は増えると予想されますので、業務でドローンを利用する場合には資格取得を検討してはいかがでしょうか。
「操縦ライセンス制度」については過去に建設ICT.comでも記事を公開しています。制度の大枠を理解されたい方はぜひこちらもご覧ください。
※情報は記事公開当時のものです。現在は変更されている箇所もありますので国土交通省などの最新情報も必ずご確認ください。
【2022年度航空法改正】どうなるドローンの国家資格 ー建設現場でドローン免許は必要かー
まとめ
ここ数年の間にドローンの普及は急速に進みました。建設業界においてもドローンを取り入れることで業務が効率や安全性が高まるため、積極的に利用されるようになってきています。
その一方で、ひとつ間違えると大きな事故につながる危険性もあり、国民の生活を守るためのルールや制度の整備が進められている最中でもあります。
ドローンについては今後も色々な面で変更が生じることがあるでしょう。
ルールを守って安全かつ適切にドローンを利用するためにも、新しい情報はこまめにチェックしておくことをおすすめします。
最後になりますが、昨年に続き空撮の機会をいただきましたバンテリンドーム ナゴヤの関係者の皆様に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。