今回は点群データ編集の様子をお届けいたします!
普段お仕事で点群データを扱われる方にとっては、今回の内容は語るまでもないことばかりになってしまうと思いますが、ここではあえて点群に初めて触れた人間の驚愕に寄せて実況してみたいと思います。
さて練習として今回操作する点群データは、前記事「TLS(地上レーザースキャナー)の練習」での採集データを用います。ソフトウェア上にはこのように表示されます(参考:点群データとは?)。
何となくご想像がつくかもしれませんが、現場の作業範囲一つを膨大な点(XYZ+色)の群れで再現したこのような点群データは、高性能PCが排気音で悲鳴をあげる程度に処理の負担が重いものです。
点群処理の目的の一つには、必要のない点を削除することでコンピュータにかける負担を減らすことも含まれます。
まずは、施工とは関係のない範囲の地形を手作業で大まかに削ったのち、人影や草花など細かな不要点が映り込んでいたら取り除いていきます。
撮ったデータそのままでは、コンピュータにとっては草花の形に土が盛られているかのようにノイズが乗っていることになるため、出来高管理どころではありませんからね。
この作業は見方によっては「デジタル草刈り」に他なりませんが、編集している側はいたって真剣です。
点群処理ソフトウェアによっては電柱や道路標識などの特徴的な形状の不要点を自動選択して削除する機能が備わっているため、大雑把な不要点削除はソフトにまかせて細かな仕上げを人間が行うといった効率化もできます。
不要点削除と間引きを終えたら、1㎡単位のDEM(デジタル標高モデル)へと表示を変えて土量計算・出来形計測のための操作を覚えるなど、この日は必要な操作ができるようみっちり練習させていただきました。
作業自体は難しいものではないのですが、抑えるべきポイント(国土交通省の定める検査要領など)を作業者が理解して扱うことが重要であると、大先輩である川口さんからその場で助言をいただきました。
※実はすぐ隣で川口さんが別作業をされており、分からない点があったら聞けるという非常にありがたい環境だったのです!
今回の余談
一般の3Dソフトと同じ要領で、3D空間上でカメラを引いたり寄ったりして視点を操作します。その際、不意に不要点にカメラを近づけすぎたところ、地上レーザースキャナーが採集した点群の恐るべき高精度さを目の当たりにすることとなりました。
点群として映り込んだ電柱や電線に着目すると、電線の一本一本が、白い陶器の部品(がいし)の形状が、変圧器表面の凸凹までもが質感を読み取れるほどのディティールで点群化されていました。例えばスマホのLiDARなどでは機器特性上どうしても破綻が出ますが、そういったものとは別次元です。
知識としてTLSのレーザーパルスが相当な短間隔で照射されることを知ってはいましたが、スキャンの現場で機敏に首を振って走査するTLSを目の前で見て知っている身の上としては素直な驚きでした。