発注者情報-ICTサポート制度
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ICT建機選定のポイント【ICT施工実務シリーズ⑤】

こんにちは。i-Constructionスペシャリストの測量士、川口です。

今回は、ICT施工の花形ともいえるICT建機の選定ポイントについて解説していきます。

花形とはいえ、ICT建機のリース料は従来機に比べて割高なのが正直なところでしょう。それゆえに、ICT土木を進める上でICT建機の利用を課題と捉えている建設会社様も少なくありません。

「i-Constructionに対応している機種は?」「ICT建機の手配では何に気を付ければいいのか?」など、普段現場でいただくことが多いご質問から、ICT建機を手配する上での判断基準と注意点についてお伝えしたいと思います。

はじめに

ICT建機による施工を行うためには、ICT建機の手配以外にも様々な段取りが必要です。

例えば「3次元データ」や「測位システムの選定」などがそれにあたります。それぞれ別のコラムでポイントを解説していますので、まだご覧になられていない方はあわせてご参考ください。

ICT建機選定のポイント

i-Construction対応機種

現時点でICT施工が可能なi-Construction対応機種は6種類です。

1)バックホウ
2)ブルドーザー
3)転圧ローラー
4)グレーダー
5)アスファルトフィニッシャー
6)路面切削機

これまでICT土木に取り組まれてきた大半の建設会社様は、ICTバックホウを活用した施工を実施されています。その上で、現場によりICTブルドーザーや転圧ローラー、グレーダーなどを併用しているケースが多いです。

ICT建機の取り扱いメーカーによっても、機種や仕様が異なります。
そのため、現場監督自身が現場状況にあった適切なICT建機を選定する必要があります。

土工作業に応じた選定

ICT建機を手配するにあたり数ある機種の中から、現場のICT施工範囲や工種、土工作業内容を考慮して、適切なものを選定しなければいけません。

建設機械は作業内容により組み合わせが決まりますが、土工作業自体で見ればICT施工と従来施工で大きな違いはないでしょう。

機種 作業内容
バックホウ 掘削、積込み、法面仕上げ
ブルドーザー 掘削、運搬、敷き均し、整形、締固め
転圧ローラー 締固め
グレーダー 敷き均し、整形、舗装
アスファルトフィニッシャー 敷き均し、締固め、整形、舗装
路面切削機 切削、舗装

しかし、ICT建機と従来建機の最大の違いは、「マシンコントロール(自動制御)」と「マシンガイダンス(操作補助)」機能が使えることです。この機能により、同じ作業内容であったとしても、従来施工と比べて施工精度、施工効率、安全性が格段にアップします。

工種にあわせた土工作業の内容に最適な建機の選定ができれば、施工性向上に直結します。我々が現場サポートを行う中で、この適切なICT建機の選定が、ICT土木の課題とされるコスト高を改善し、現場の利益確保につながると実感しています。

手配の仕方

ICT建機を手配する際には、大きく次の2つの選択肢が考えられます。
1)自社所有のICT建機
2)レンタル・リースのICT建機

現場単位で考える場合は、一般的にレンタル・リースを選択することが多いですが、中長期的なビジョンで見た場合に、ICT建機を自社で保有することを選択される建設会社様も増えています。

現場単位だけの利益化ではなく、会社全体の利益化を考えると、現場監督のみならず、会社全体での経営判断が求められるケースもあるということです。

もちろん、このようなICT建機への投資は、会社の規模、経営状況、地域性、受注形態など、考慮すべき要素がたくさんあるため、すべての建設会社に当てはまるわけではありません。

ICT建機による施工で必要な段取り

ICT施工を行うためには、ICT建機さえ手配すれば終わりというわけではありません。実は、それ以外にもいくつか必要な段取りがあります。

まず、大事なポイントを手順にそって説明します。

1.大筋の流れと段取りを把握しておく
まず、大前提としてどんな段取りがあるのかを把握しておく必要があります。

  • 測位システムの手配
  • 工事用基準点(ICT施工用)の手配
  • ローカライゼーションの実施
  • 正確な3次元施工用データの準備(設定)
  • ICT建機の精度確認試験の実施

など。

2.現場状況に応じた判断基準を理解しておく
以上の段取りを把握した上で状況に応じた判断ができることが重要です。

机上の施工計画のままではうまくいかないのが土木工事。

事前に現場状況をしっかり見極め、「最適な測位システムの選定」や「正確な3次元施工用データの準備(設定)」など、仮にイレギュラーな対応が求められた場合でも、最適解を導き出せる基準を事前に理解しておきましょう。

まとめ

ICT土木の課題の一つ「ICT建機のコスト高」を解決するためには、適切なICT建機の選定に加えて、現場状況に応じた適正な段取りが必要です。

また、ICT建機を使用するにあたり、これまでよりも施工の下請会社や建機メーカーの担当者様と連携する機会が増えてくるでしょう。

その時、そういった協力会社との関係性を良好に保つことがとても大切です。

現場監督が、ICT施工の流れを正確に把握し、ICT土木の現場自体を深く理解していくことが、スムーズなICT施工の実現と現場の利益化につながると我々は考えます。

当社ではICT建機の購入・手配についてのご相談も承っています。建設会社様にあったICT建機選定のお手伝いもしています。お気軽にご相談ください

 

ICT施工実務シリーズ

【ICT施工実務シリーズ①】3次元設計データと3次元施工データの違い
【ICT施工実務シリーズ②】3次元設計ソフトウェア(3DCAD)の特徴と選定のポイント

【ICT施工実務シリーズ③】3次元測量で起こりやすいトラブル事例

【ICT施工実務シリーズ④】ICT建機の測位システムの選定ポイント

【ICT施工実務シリーズ⑥】2020年度国土交通省のICT要領改定ポイント

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