はじめに
あけましておめでとうございます。建設ICT.com編集部です。
昨年は多くの方々に本サイトを訪れて頂き誠にありがとうございました。本年もi-Constructionに取り組む現場の声をお届けしてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
さて本日は、昨年秋に異なる2つのICT施工関連のセミナー主催者様から依頼を受けたICT施工に関する講演についてレポートします。
どちらもお題は「ICT施工のメリットを伝える」というもの。パートナー企業の森下建設株式会社様と一緒にストラテジクスマネジメントのi-Constructionスペシャリスト・川口が登壇しました。
このように一般的に多く受講者を募るタイプのICT施工関連セミナーは、全国で定期的に開催されています。読者の皆さんの中にも参加された経験がある方も多いと思います。
以前のコラムで、「一般的なセミナーではICT施工のノウハウを伝えるのは難しい」ことをお話しました。ICT施工のノウハウを習得するのに一般的に多く募集するタイプのセミナーは向いていません。
ICT施工の効率的なノウハウ習得方法とは(前編)中国ICTサポート企業の当社がズバリお答えします!
では、一般的なセミナーで得られることは何でしょうか?このコラムでは、「一般的なICT施工セミナーで得られること」について登壇者の立場からお伝えしたいと思います。
セミナーの目的
今回登壇した2つのセミナーはそれぞれ別の主催者でしたが、これからICT施工にチャレンジする建設会社、行政担当や設計担当の方など比較的初心者向けの内容でした。
ちなみにセミナーを受講する際は、「そのセミナーを受講することで何が得られるのか?」「何を得たいのか?」を事前に明確にしておくことがとても重要です。
私たちが企業からご依頼を受けてセミナーや研修を実施する際には、「受講対象者」「どの情報を提供し、受講後にどうなって欲しいのか?」を依頼主様と入念に検討し、内容を設計します。
今回の2つのセミナーの場合、なかなかICT施工に踏み込めない方々(建設会社)に対して、本当にメリットがあるのかどうかを理解してもらい、ICT施工へ積極的に取り組めるようになってもらうことが目的でした。
セミナーのゴール
ICT施工にこれから取り組もうとしている建設会社は具体的に何を知りたいのでしょうか。実際にわたしたちがこれまで伺ってきた中では次のような内容がほとんどです。
- ICT施工とは何をするのか(工事受注から検査までの流れ)
- 従来施工とは何が違うのか
- ICT施工にはメリットがあるのか
- 従来施工のままではダメなのか
- 何から準備していけばいいのか
実際にどうやって取り組んできたのか、取り組んだ結果メリットがあったのかを、ICT施工経験者から直接聞けるという点で、今回のセミナーに出席される方々が多いように見受けられました。
そんな受講者の要望に応えるべく、森下建設様と一緒に現場写真や資料を使ってできるだけわかりやすくICT施工についてお伝えしました。ところが、その話を聞くことと、ICT施工に取り組めるようになることは別の話です。
本当のゴール
今回のセミナーで私たちがお伝えたかったのは「ICT施工のメリット」ですから、その点は十分にお伝えすることができました。しかし、セミナー受講の先にある本来の目的(ゴール)は、建設会社がICT施工に取り組み、その取り組みを継続することで建設生産プロセス全体の生産性を向上させることです。
そうすると、1回のセミナーだけでは情報やノウハウが不足しています。
なぜなら、一言でICT施工と言っても会社や現場ごとに取り組むプロセスが異なるからです。
それぞれの会社、現場にあわせた具体的なアクションプランがないと次のステップに進むことはできません。
- 工事予算はどうやって計算するのか
- 何が必要なのか(購入かレンタルか)
- 専属の人材が必要なのか
- 若い人材じゃないとだめなのか
- どのタイミングで応札すればいいのか
- イレギュラー発生時にはどうすればいいのか …など
会社や現場によって、課題が違えばプロセスの順番や解決方法も全く異なります。
一般的なセミナーで得られる限界
私たちが受講対象者を広く募るタイプのセミナーで講演させて頂く場合は、「ICT施工がなんとなく理解できた」「うちの会社でもできそうだ」という気持ちになってもらうことを考えて話をします。
その受講者が会社に戻り、決裁権のある経営陣(社長や部長など)に相談してみてよう、と思えるくらい背中を押せる内容を意識しています。何をするにしても最初の一歩は肝心です。
しかし、あくまでも最初の一歩ですから、この段階のセミナーを何度も受ければ良いかというとそうではありません。
i-Constructionの取り組みが発表されて以降、業界は過渡期に突中し国土交通省から発表される要領や規定は年度ごとに改定、更新されます。そういった情報を収集しながら現場に落とし込み、ノウハウを蓄積していく必要があります。そのため、ICT施工を成功させるには日々ステップアップしながら、常に学習し続けないといけないのです。
また、ICT対象工事の入札は次々にやってきます。年度ごとに公告件数も増加中であり、対象工事の枠もどんどん広がっています。まずは一通り学んでからスタートすればいいという考えでは、業界の流れに取り残されてしまいます。わからないながらも現場を進め、そこで技術やノウハウを習得していく覚悟が必要です。
SGMがサポートできること
ケースバイケースのICT施工への取り組みにおいて、建設会社が単独で仕組みを体系化するのは簡単ではありません。かなりの時間とコストがかかることになり、i-Constructionの目的である生産性向上から逆行してしまい本末転倒です。
できればICT施工に一緒に取り組める信頼できるパートナーがいると良いでしょう。
現在わたしたちはICTソリューション事業を通して、全国の建設会社様、行政ご担当の方々にICT施工の取り組みに関する情報やノウハウを提供しています。その中にはi-Construction関連のセミナーや研修なども含まれており、具体的には次のようなサービスがあります。
i-Constructionスペシャリスト養成講座 | i-Constructionオンライン講習 |
---|---|
自宅で気軽にi-Constructionを学べるオンライン講座で、ICT施工を実現するために必要な基礎から応用までを、Web動画で効率良く学習できるプログラムです。 | SGMのi-Constructionスペシャリストが講師を務める少人数制のグループやマンツーマンのオンライン講習で、ICT施工知識を効率的に習得し、ICT現場での疑問が解決できます。 |
ICT土木特化のドローンスクール | カスタマイズ研修・セミナー |
i-Construction対応の測量会社が運営する土木専門の出張ドローンスクールで、自社でドローンを活用した現場 管理や測量などを行う法人様限定で講習を行います。 |
企業様のご要望にあわせたカスタマイズのカリキュラムによる研修やセミナーで、セミナー後には受講者の習得度を可視化したレポートを提出します。 |
わたしたちは、創業より経営コンサルティング事業を行う測量会社です。建設ICTの技術や取り組みを通して、地域の守り手である建設会社様に寄り添いながら、業界発展のお役に立てるよう日々サポートしています。
SGMのICTソリューション事例
日本初の公道レースをテクニカルサポート
わたしたちはテクニカルパートナーとして「ねっとの窓口A1市街地グランプリGOTSU2020」の準備段階からICT土木技術によるサポートを行いました。
テクニカルサポート実績コラム
日本初公道レースのコース安全検証にICT土木技術を活用(3次元測量編)
日本初公道レースのコース安全検証にICT土木技術を活用(3次元モデル編)
日本初公道レースの成功を支えたICT土木技術とは(ミッション達成編)
中国ICTサポート企業/関東ICTアドバイザー
わたしたちは国土交通省中国地方整備局の「中国ICTサポート企業・団体」と関東地方整備局の「関東ICTアドバイザー」に登録されています。
ICT施工サポート実績
まとめ
ICT施工の取り組みへのハードルを下げるためにそのメリットを伝えるという点においては、受講者を多く募るセミナーは打ってつけです。ただし、その先にある本当の目的のためにはそれだけでは足りません。全てに通用する万能のノウハウは存在しないのです。
ICT施工の基礎を理解し、技術を身に付けながら、現場ごとの応用力を上げること、確実に実績を積み重ねながらノウハウの習得していくこと、そして何よりそれを継続することが、本当のゴールに向かう最適なプロセスになるでしょう。
わたしたちは、ICT施工への第一歩を踏み出したい企業様から、利益を上げるためのICT施工へシフトし社内の実績やノウハウをより深化させたい企業様まで、ご要望に応じたサポートを行っています。i-Construction、ICT施工に関することでご不明な点がありましたら、お気軽にお問合せください。