国土交通省、地方自治体問わず、全国的に発注件数が増える一方のICT活用工事。
皆さん、チャレンジできていますか?
それに比例して、全国から届く建設ICT.comへのお問い合わせも増加しています。
「ICT施工に対する理解を深めたい」「社内ノウハウを体系化したい」などという理由で、すでにICT実績がある企業様からも多数お問合せをいただいています。
今回のコラムでは、そんなわたしたちのICTサポートサービスの一つである「総合マネジメント」について、実際の活用事例をお伝えしたいと思います。
ICT施工に初チャレンジした現場監督の言葉
とある直轄工事の施工者希望型のICT活用工事を受注されたA社さん。それは担当の現場監督はもちろん、A社さんにとっても初めてのICT活用工事でした。
「これまで適した現場が無くてあきらめていたけど、ようやく訪れたチャンスだからぜひチャレンジしたい」という現場監督。
協力会社からの紹介でわたしたちがお手伝いすることになり、総合マネジメントのサポートを活用され、先日無事に工事完成を迎えることができました。
「ICTでなければ間に合わなかった」
これが完工後に現場監督がおっしゃった言葉です。
総合マネジメントの効果を実感されたこの現場監督は、その後、他の会社にもこのサービスを勧めてくださっています。
ICT活用工事の適用にならない作業土工
当初、現場監督の中では初チャレンジということもあり、作業土工だけをICT施工で行うつもりでした。
わたしたちの総合マネジメントというサービスは、施工計画の段階からICT施工の各工程に関する助言と技術的指導を行い、工事全体のマネジメントをサポートするものです。もちろん、必要な工程だけの助言と技術的指導を受けることもできます。
ICT施工をスムーズに進めるための支援「総合マネジメント」とは【前編】
ICT施工をスムーズに進めるための支援「総合マネジメント」とは【後編】
まずわたしたちが、施工計画時にお伝えしたのは「該当の積算基準では作業土工単体だとICT施工適用外になること」でした。
ICT対象とするためにどのような協議が必要かという助言を行い、結果的に盛土工の施工範囲が拡大されることになりました。
手放しで喜べない増工
増工が決定したことでICT施工対象範囲も広がり、現場監督も喜んでいたのですが、手放しで喜べない理由がありました。
それは「工期に間に合わないのではないか」という懸念です。
工期内完成は絶対条件、かつ安全第一で品質確保を目指すために工程が増えれば、現場監督への負担もおのずと大きくなってしまいます。
従来施工の増工でも大変なのに、勝手がわからない初めてのICT施工となると不安は増すばかりです。
初チャレンジで対応できた理由
そんな現場監督の不安が無くなるよう、ICT施工の基礎知識からICT技術選択の条件や各工程での判断基準など、現場事務所で行う打合せや現場作業を通して細かく丁寧にお伝えしました。
増工した初チャレンジのICT活用工事を、タイトな工期にも関わらず無事に完成させられたのは、「総合マネジメント」によるサポートがあったからでしょう。
ただし、それだけではないことを忘れてはいけません。
総合マネジメントの効果
今回の現場で工期内完成を実現できた理由の一部は次の通りです。
- 施工計画から始まった綿密な事前準備とスムーズな段取り
- イレギュラー発生の想定と即時対応の速さ
- 協力会社のICT建機による施工技術の高さ(初のICT工事にも関わらず)
- 現場監督の施工管理技術の高さ(高いコミュニケーション能力)
総合マネジメントとは、現場監督ができないことを代わりに行うためのサポートではありません。
目的は、助言・技術的指導を受けながらICT施工実績を確実に自社のノウハウとして蓄積することであり、次の人材を育成するための仕組みを構築することです。
これはi-Construction取り組み施策の一つである「ICTの全面的な活用」と同じではないかとわたしたちは考えます。ICTの全面的な活用とは、人手不足、経験不足を補うだけのものではなく、建設現場やそれに関わる人たちの元々ある潜在的な技術力を最大限に引き出すことなのです。
総合マネジメントを全面的に活用されたこの現場では、まさにICT活用工事をきっかけに現場監督や施工会社の本来の能力を最大限に引き出すことができた現場でした。だから工期内完成を実現することができたのです。
課題
このような理由で、今回の現場はICT初チャレンジだったにも関わらず、目立ったトラブルも無くスムーズに完工を迎えることができました。
しかし、ICT活用工事の取り組みには、まだまだ課題があります。
現場担当者のICT施工への意欲や技術を習得したいという思いを、経営判断を行う立場の管理職が理解できていないことがその一つです。
自社の社員にスキルアップの環境を提供するは経営者の役割です。それを忘れて、社員のチャレンジ精神や成長の芽を摘んでしまっているケースを見受けます。
逆もあります。
会社全体でICT施工に取り組みたいが、現場がやりたがらない。新しいことを受け入れないというケースです。
みなさんの会社は、一枚岩でICT施工に取り組めていますか?
まとめ
建設会社にとって、i-Constructionの取り組み、ICT活用工事への対応は避けて通ることはできません。新たなことにチャレンジするためには、経営陣と現場担当が両輪で進んでいく必要があります。バランスを欠いていては、まっすぐ進めずスピードもどんどん遅くなるばかりです。
i-Construction取り組み発表当時とは違い、失敗しながら実績を積んでいては業界の流れに追いついていけません。
目の前のチャンスを棒に振らないために、確実にノウハウを蓄積していくための最短で最も効率的な方法が総合マネジメントを活用することだとわたしたちは考えます。
ご興味がある方は、是非お気軽にお問合せください。
費用やスケジュールなどのサポート内容を担当がご説明します。