森下建設株式会社
島田 孝久さん
― 現場施工担当者が感じる

「将来につながる」思考と行動

森下建設社員

島田 孝久 さん

森下建設入社4年目。別の土木会社での勤務経験があり、土木業界自体には30年近く在籍。職長として現場施工を行うほか、現在社内で1番の若手社員と同じチームで教育指導も行っている。社内初のICT施工にてICT搭載ブルドーザーの使用経験あり。建設機械施工技士保有。

インタビュー

インタビュアー 建設ICT.comスタッフ

ICT工事に取り組む経営者の方や、現場を担当する現場監督さんに向けたセミナーや研修を主に担当しています。社内ICT化のスピードと精度アップに向けた現状の課題抽出と具体的な実施項目をわかりやすくお伝えすることができます。DX・ICTに強い人材の育成はお任せください。

― 現場施工担当者が感じる

「将来につながる」思考と行動

森下建設社員

島田 孝久 さん

森下建設入社4年目。別の土木会社での勤務経験があり、土木業界自体には30年近く在籍。職長として現場施工を行うほか、現在社内で1番の若手社員と同じチームで教育指導も行っている。社内初のICT施工にてICT搭載ブルドーザーの使用経験あり。建設機械施工技士保有。

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ICT工事に取り組む経営者の方や、現場を担当する現場監督さんに向けたセミナーや研修を主に担当しています。社内ICT化のスピードと精度アップに向けた現状の課題抽出と具体的な実施項目をわかりやすくお伝えすることができます。DX・ICTに強い人材の育成はお任せください。

段取りが8割。分担せずとも各々ができることをやっていくから効率が良い

― 実際に現場でご一緒させていただくと、森下建設の皆さんは各班が少人数にも関わらず、作業スピードがとにかく速い印象を受けます。
それらを支えているポイントとして社長や副社長が島田さんの「段取り能力」を評価されていましたが、段取りをするうえで何か意識していることはありますか?

当然のことしかしていませんよ(笑) 強いてあげるなら、時間もお金もロスが出ないようにすることです。時間に気を付ければ必然的にお金のロスも減るので、重要度でいうと段取りが8割くらいだと思っています。
なるべく人間も機械も無駄なく稼働できるように、人や機械の稼働時間や燃料を入れるタイミング等を考えて段取りを組みます。

でもまあ事前にいくら考えていても雨が降ったり、作業時間に限りがあったり、すべて事前の段取りの通りに作業が進むわけではありませんから、その場の流れに合わせて工夫するのが基本ですね。

うちの作業が速いのは、各従業員ができることとできないことを把握して、自分ができることを柔軟にしているから。それだけのことだと思いますよ。別に「どうぞどうぞ!」って譲り合うことでもありませんから、自分ができることを最大限やって、お願いできそうなことはやってもらうっていう流れでやっています。

特別な役割分担とかはしていませんね。

― 簡単そうにおっしゃいますがすごいことですよ。「できること」といえば確かに森下建設の皆さんは一人一人がいろんな作業をこなしていらっしゃいますよね。
通常だと測量は測量、オペレーターはオペレーター、作業員は手元作業といったように自分の作業だけ行うことが多いと思いますが、森下建設の皆さんは、測量もオペも作業もすべて1人でこなしてしまう。そんなマルチプレイヤーばかりがそろっているから事前に特別な分担作業をせずとも柔軟に動けるのかもしれませんね。

今のうちの会社は人数が少ないですからね。その分いろんな仕事が回ってくるし、仕事に対する責任感とやりがいが大きいです。他の班はどうしているか細かくは知りませんが、私の班は大体の流れも経験上できていますから、その分で動きが速く見えたのかもしれませんね。

― 島田さんはICT施工にも携わられたご経験があると思いますが、ICT施工と従来施工で段取りに違いはありますか?

正直、段取りに関して意識していることは、ICT施工にしても従来施工にしてもとくには変わりません。私が3次元データを作成しているわけではありませんからね。

ただ、ICT建機はうまく活用できればものすごい時間短縮になりますね。ボタンを押すだけの作業ではないので、誰でも乗れるわけではないと思いますが、とにかく作業が早いです。大体4~5回往復しなければいけない作業が、2回ぐらいで終わります。

他にも本来であれば、粗掘削した後に仕上げをする必要がありますが、ICT建機なら仕上げまで1発でできます。コツや操作は触れていればすぐ慣れると思いますし、利便性は1回乗るだけでも実感できましたね。
でも、電波の関係でうまく作動しないこともありますし、時間でデータかずれることもありますから、確認作業は必要ですね。

それから、今所有している建機にはICTがついていないものもあるので、作業状況によっては建機の入れ替えが必要になるんです。それだと丁張のほうが早く作業が終わる可能性もあるので、そういった部分の使いまわしは難しいですね。

― 確かに従来建機とICT建機の使い分けは重要な判断ポイントになってきますね。それにしても「データを100%信用せず都度確認する」という姿勢を全員が取られていることもまた森下建設さんの素晴らしいところだと思います。GPSで誤差が出るということを、あらかじめ意識できていない施工担当者さんは実は多いですからね。
ちなみに島田さんがそんな森下建設に入社されたのは4年ほど前だと伺いましたが、その段取り能力はどこでどのように身に着けられたのでしょうか?

転職前の会社で15年ほど土木部と運送部の両方の仕事をしていたので、その中で身についたんだと思います。後は今までやったことを経験として蓄積しているからですね。「この作業工程ではこれくらいのロスがあったな」とか、「ここが短縮できたな」とか過去の仕事から学ぶことは多いです。

将来の自分をイメージできれば仕事がもっと面白くなる

― 過去の経験を今に活かしていらっしゃるんですね。ではICTという新しい技術についてはどのように学んでいくのが効果的だと思われますか?

何度かやってみないとわからない部分も多くあると思うので、何とも言いきれませんが、「こういう時はこうしてください」と口だけで説明されるよりも、実際に建機に乗っている人が現場で教えていくやり方が一番頭に入るとは思います。

うちの部長なんかは実例を交えて話してくださいますから、現場以外の場所で、机上で説明する方法でも理解にはつながりますが、乗らないとわからない部分は想像で補う形になるので、きちんと理解しきれているとは言えないですよね。

実際に触れてみて初めて「ああこういうことか」と思うことも多いですから、実際に建機に触れて作業してみるのが効果的だと思いますよ。

― 実際に触れた方が良いという点では従来施工もICT施工も同じなんですね。島田さんは今若手社員の方と同じ班にいらっしゃいますが、普段はどのように指導されているんでしょうか?

若手はまだ資格を持っていなかったりしますから、できる仕事が限られています。その他にもいろいろな理由で制限があるので、「こんな資格を取ったらこんなことができようになる」といった風に、今やっていることが本人の将来にどうつながるのかを伝えるようにしています。

一見関係なく見えることでも「ここ忘れずに覚えておけよ」と一言添えるだけで、将来のイメージに向かえるんじゃないかと思ってるんです。まあ実際本人がどう思っているかは知りませんけど(笑)

将来の自分の姿がイメージできるようにしないと、いつまでこの仕事が続いていくんだろうと考え始めてしまって、面白くなくなりますからね。

私自身がそうでしたから。

土木をやりたくて入った会社で、運送の仕事ばかり任されていて、「将来こうなりたい」という形が見えずにだらだら続けてしまったところがあるんです。だから若手の社員にはそういった思いはさせたくないですね。本人がなりたいと思っている将来に近づけるようなことを具体的に教えるようにしています。

もちろんどうしても土木ですから、今はまだ「汚い、きつい、危険」は事実ですし、本人次第な部分はありますけどね。でも、結局本人が目標を持たないと仕事も楽しくないと思うので、目標を見つけやすいように支えていくつもりです。

情報共有しやすい環境と保守派じゃない経営姿勢

― 他の会社よりも先にICTを導入する決断をされた森下建設さんですが、会社のICTへの取り組みについて現場で携わる社員としてどのように感じられていますか?

人手不足や書類の簡潔化を考えているんでしょうね。自分も何年働けるかわからないし、業界に入ってくる若者も減っているでしょうし、そういった意味でICTという新しい技術があると入りやすいのかもしれません。
だからと言って「ICT建機のオペしかしません」と言われると困っちゃいますけどね(笑) 今はまだ従来型の施工のほうが多いですから。

でも、ICT建機は私たちよりもっと若い人たちが扱った方がいいと個人的には思っています。面白いでしょうし、将来につながる技術ですからね。

― そうですね。
それにしても先ほどの従来建機とICT建機の使い分けの話もそうですが、森下建設の皆さんは実際にICT活用工事に携わっていない方でも当たり前のようにICTの基礎的な知識をご存じですよね。現場にはいっていないのに、皆さんが共通の認識をできていらっしゃるので、いつも驚かされます。

そこは普段の会話の中でも出てきますからね。朝に作業をして昼食をはさんで昼一番に作業に入ったら数㎝ずれていたから確認して補正したとか、GPSが急に途切れたとか、そういう起こった出来事の共有をしているから、事前に気を付けることができるんですよね。

― 今回のインタビューを通して改めて森下建設の皆さんの「人」のつながりの強さを感じましたが、外からも中からも森下建設をご存じである島田さんから見て、森下建設の「人」ってどんな方々だと感じますか?

転職前もJVで一緒に仕事したことがあるので全く知らなかったわけではないですけど、今の社長は保守派ではないですよね。

昔は民間の仕事を多くやっているイメージが強くて、私が入社した当初は時間がゆっくり流れている感じでした。ですが最近はICT化に合わせて公共の仕事も増えてきて少しずつ時間の流れも速くなっていますから、経営陣は先を見て行動されているんだなと感じています。

他の社員も地元出身者が多い分、子供のころから知っている社員もいるので自分の知識で活かせる部分があれば、しっかり教えてくれますし、私もそうしています。そんな気概がある人が多いですね。

人の未来を考えることがこの会社に在籍される人たちの特徴の一つなのかもしれませんね。
お時間をいただき、ありがとうございました。

取材日: 2021-04-16

企業情報

社名 森下建設株式会社
事業内容 土木事業、建築事業、住宅事業、解体事業、不動産事業、江津市委託事業
コーポレートサイト https://morishita-co.jp
代表者 代表取締役 森下幸生
設立 昭和21年1月
従業員数 51名(2024年3月現在)
本社所在地 〒699-4221 島根県江津市桜江町市山543番地16 TEL(0855)92-1360 FAX(0855)92-0182
営業所 東京営業所 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町18-4 二宮ビル5F 江津営業所 〒695-0021 島根県江津市都野津町2342-3 浜田営業所 〒697-0015 島根県浜田市竹迫町2731-25 川本営業所 〒696-0004 島根県邑智郡川本町川下1267-3
資本金 20,000,000円
株式公開 非上場

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